常識すぎて誰も語らないバイク話

ベテランライダーがバイク乗りの考え方、実情、ライテクなどバイクの世界を語ります。
毎日更新中!所有歴はカブ、RS50、スパーダ、イナズマ400、GSX1400、ZX-10R、DR-Z400SM。

サーキット上級者への道

サーキットでバリバリ走るために必要な知識・練習をまとめています。バイク初心者からサーキット中級者まで役に立つ記事を目指しています。

アクセルコントロールによるスムーズなライディング

皆さん、フロントブレーキのリリースや引きずりは丁寧にやっているのに、アクセルのリリースはいい加減にやっていませんか?パッとアクセルを全閉にするとバイクの挙動が乱れるんですが、それは主にタイヤの負荷・荷重がなくなるからです。

作成:2023年12月6日

ライテクではブレーキ操作ばかりが注目される

どのライテク解説でも「ターンインでフロントブレーキを強く掛けた後に、じわっと離すことでスムーズにバンク、縦方向に使い切っているタイヤのグリップ力を横方向へシフト、またフロントフォークも急激に伸ばさずフロントが低い状態を維持する」ということを口酸っぱく言われています。

これはコーナーのボトム速度を上げる(できるだけスピードを落とさず曲がる)ためにとても大切なことなのですが、しかしアクセル開度を丁寧に操作してバンクへ持っていくという解説はほとんど見たことがありません。

確かにサーキットや直線が長いワインディングなど、大きな減速が必要な場面では「立ち上がりからアクセル全開→ターンインでアクセル全閉して間を置かずにフルブレーキ」という形です。

しかしサーキットであろうと弱いブレーキやノーブレーキで入るコーナーはありますし、峠なんかはそれほど強いブレーキを掛けるコーナーは少ないです。

いい加減なアクセル操作が挙動を乱す原因

そうなると重要になるのがアクセル開度のコントロール

先にブレーキで考えてほしいのですが、フルブレーキから一気にブレーキを離すとフォークはすぐに伸びるし、フロント荷重とフロントタイヤへの負荷はすぐになくなるので挙動が乱れます。バンク中ならパタッと寝すぎてしまったり、直立ならふらついたり。

ブレーキリリースは多くのライダーがイメージできることですが、しかしアクセルの戻し方を意識している人はなぜかあまりいません。

例えば左コーナーが2つ繋がっているコーナーで、1つ目の立ち上がりで少し加速し、アクセルを開けながら2つ目にターンインするがブレーキするほどの速度でない時に、これからもっと寝かせて曲がるのだからアクセルをパッと離す人は多いと思いますが、するとバイクの挙動が繋がらなくなります

アクセルを開けながら左に曲がっていることで、リアタイヤが旋回と加速で縦横にグリップ力を使って実現していた旋回半径が、急にアクセルを全閉にすることで縦のグリップ力消費がなくなってタイヤの潰れ・ねじれが小さくなります。

するとリアタイヤが外側から回り込みながら気持ちよく旋回している状態から、旋回力がなくなってバイクが一瞬立ち上がるような挙動を見せるはずです。

そこから体重移動してバイクを寝かせて曲がろうとしても、タイヤの負荷・ねじれが小さくなっている状態からなので曲がるまでタイムラグが生じて、思うような自然なライン取りができなくなります。

アクセルコントロールを丁寧にしてキレイなライン取りを

もし思い当たる人がいたら、ぜひアクセルコントロールを練習してみてください。サーキットでもワインディングでもいいのですが、ブレーキがいらないくらいの流しの速度でわずかに加速するくらいにアクセルを開けながらターンインします。

そのままアクセルを一定に保てば曲がり方とバンク角が安定して、弱アンダーステアでそれほど曲がらないながら安心してコーナーへ入っていけます。

コーナーの入り口まではその緩やかな旋回半径で曲がっていき、バンク角を増やしたいタイミングで徐々に、ゆっくり少しずつアクセルを戻していきます。この時、全閉にするとエンブレで速度が落ちますので、加速も減速もしていない一定速を維持できるアクセル開度まで戻していきます。

すると驚くほどスムーズにバイクが寝ていって、また走行ラインもわかりやすく怖くないものとなります。これは自分のアクセルワークでライン取りしているので、マシンコントロールができていることで自信が持てるし、イメージのままに好きに曲がることができるからです。

もしアクセルを戻していってもバイクが寝なかったりコーナリングが安定しない場合、最初のアクセル開度が小さい可能性があります。もう少し大きめに開けて安定した車体姿勢でコーナーへ入り、そこからアクセルを一定速まで戻していってください。アクセル開度は前後の車高や減速比で変わってきます。

そしてグリップ力の観点からも、この加速も減速もしていない一定速走行でのフルバンクが最も旋回速度を高くできます。加速もエンブレもないので縦方向にグリップ力を浪費しておらず、旋回にめいいっぱいグリップ力を使っているためです。

一石二鳥のこのコントロール方法、自信をもって走るためには必須ですのでぜひ練習してみてください。

「体重移動や体の柔軟性を活かせばパッと離しても大丈夫なはずだ」という考えは誤りです。私自身そう考えていたのですが、あくまでマシン単体でスムーズな挙動を実現できてこそ、ライダーの体重移動が相乗効果となります。マシンのネガを消すための体重移動では速くなるのは難しいです。この練習では体重移動は最小限にして、急激な荷重変動はなくしてください。

毎日乗る車でも練習しよう

実は毎日の車通勤でも練習できます。バイクはFRなので車もFRなのが理想ですが、FFでも十分に練習になります。

全ての場所で練習できるので自分はどのカーブを曲がるときも練習していますが、速度の出ないキツめのカーブが特にオススメです。

街乗りなのでブレーキを使ってカーブに入ることはしません。周りの車の車速+αくらいの速度でアクセルを踏んだままハンドルを切ってカーブに入っていきますアウトいっぱいから、早めにハンドルを切り始めてカーブにアプローチして下さい。

当然アクセルを踏んだままなのでアンダーステアでさほど曲がりませんが、タイヤが潰れて斜めに曲がる感覚となるはずです(もしここでアクセルを踏んでいなければスッと横に曲がる感覚となる)。

斜めに曲がる感覚というのは縦横両方にタイヤを潰しているから起こるもので、そこからアクセルを徐々に抜きながらハンドルを切り増していき、横方向のグリップ力消費の比率を強めていきます。

舵角に対してアクセルを抜きすぎるとタイヤの潰れがなくなるので、慣れるまでは「アクセル開けてるからハンドル切っても曲がらないなー」と感じるくらいアクセルを緩やかに抜いてください。ハンドルでこじるような感じです。

当然舵角に対してアクセルを踏みすぎているとアンダーステアなので、そうしたら次回はもう少しアクセルを抜くようにして、アクセルリリースとハンドル切り増しをシンクロできるように練習します。

これができると街中で普通の車でも、バイクで峠を走っているかのように美しいライン取りでコーナーできるようになります。またブレーキを使わないコーナーではこれが一番効率の良い曲がり方なので、高い車速で曲がれますしゆっくり曲がるにしても燃費やタイヤに優しい運転となります。

ちなみに私は毎日大型トラックに乗っていますが、トラックはFRなので結構練習になっています。

サーキット上級者への道のページへ戻る

トップページへ戻る

更新履歴
現在の人気記事はコチラ!