サーキット練習用のタイヤ選び
スポーツ走行の練習をするなら、タイヤは一番良いものを選びましょう。
もしトランポを持っていて自走しないならスーパーコルサ
サーキットを走るライダーにはもはや定番すぎるピレリ社のスーパーコルサ、今はV3というバージョンになっていますが、これが最も履かれているタイヤであり性能のバランスも最高で間違いありません。同クラスのタイヤにブリヂストンのR11、メッツラーのK1/K2/K3などもあります。
この手のタイヤは冷えているとグリップせず特性も変わるため、タイヤウォーマー必須となります。真冬でない限りは走って温める手もありますが、走行時間が無駄になること、転倒リスクが高いこと、そして空気圧が上がるため何度も調整する必要があり、さらに温まっていない状態で走ると変な摩耗をするため、他のタイヤにしたほうが良いでしょう。
自走しない人のタイヤ選びはこのように簡単です。ちなみに小排気量車はスーパーコルサAとなります。
自走をする人は温度依存性が高すぎないハイグリップタイヤ
街中は一切飛ばさず安全運転、攻める時だけ慎重に温めてから走るという人なら一応、スーパーコルサのようなタイヤを履くことも可能ですが、そうでないなら若干グリップ力のレベルは下がりますが、少し温まれば高いグリップ力を発揮するハイグリップタイヤを選ぶべきです。
その中で自分が選ぶとすればブリヂストン RS11、ピレリ ロッソコルサ2のどちらかにします。サーキットで膝を擦るだけならある程度のスポーツタイヤで十分できますが、スーパーコルサを履いている時に近いレベルで荷重を掛けようとするならば、自分なら上記のどちらかにします。
以下はあくまで所感ですが、各タイヤメーカーの自分なりの印象です。メーカー名の後のタイヤ名はスポーツ走行したことがあるタイヤで、書いてないタイヤについては評価が違うかもしれません。
- ブリヂストン RS11 RS10 S21 S20 BT-021
- 最もバランスの取れた性能のタイヤを作っている。特にスポーツ走行での扱いやすさは抜群で、ブリヂストンを選べば間違いはない。
- バイクを寝かせていく過程で滑らかに曲がっていくので恐怖感が少なくライン取りしやすい。強く荷重を掛けて曲がることを要求してくるが、わかりやすく曲がるおかげで突っ込んでいきやすい。荷重をかけなくても一応十分にグリップする。
- 唯一の難点はバイク量販店では値段が割高なこと。タイヤ価格はお店によって違うので高くない店を見つけたい。またライフは平均よりやや短めな印象。
- ダンロップ α14 α13 ロードスポーツ2 ロードスポーツ クオリファイヤー
- 良い点はハンドリングが軽快で寝かしやすく、どんどん曲がっていくこと。流しのようなペースでもタイヤから曲がろうとするのでコントロールが楽。
- タイヤはさらっとしていて接地感に乏しく、路面の情報はほとんど感じられない。これでグリップしているのだろうかと不安になるが、実際荷重を掛けずに寝かせているだけだと、リアがあまり食いつかずグリップを失いやすいので要注意。
- 他社のタイヤのように立ち上がり加速でリアをズリズリ滑らすような乗り方が難しく、滑ったと思ったらリアがすぐ横を向くのでアクセルはかなり慎重に開ける必要がある。攻めやすいだけに勘違いしやすく要注意。
- またライフがかなり短く、摩耗につれてグリップ力が見る見る下がっていく。量販店では割安なことが多いが、正直値段なりだと個人的に思う。スポーツ走行をガンガンしたいなら、上記に挙げているタイヤは選ぶべきでない。
- ミシュラン パワーRS パワーワン
- 全メーカーの中でもっともバンクが軽快で、意識しなくてもすぐにフルバンクしようとする。また寝かせているだけでも結構曲がるという、バイアスタイヤのような一面も持ち走りやすい。
- 逆に荷重を掛けてもそれほど曲がり方が変わる印象はない。またバンクが軽快なのはメリットだけではなく、かえってライン取りをしにくいコーナーも出てくるかもしれない。特にマグ鍛ホイールを履いているとハンドリングが軽快になりすぎる。
- しかし個人的には好印象のメーカー。
- ピレリ スーパーコルサV2/V3 ロッソIV(クワトロ)コルサ ロッソコルサ
- ハンドリングはミシュランの真逆で、バンクの仕方は普通だが寝かせただけでは大して曲がらず、 高い車速で突っ込んでからのフロントブレーキや、立ち上がりでの強烈なアクセルで強い旋回性を発揮する特性。攻めないとよくわからないタイヤ。
- グリップ力はかなり高く、滑ると感じることはほとんどないはず。開ければ開けるだけ答えてくれるタイヤ。また滑るときもズリズリ横に逃げながらも粘ってくれる領域が広いので、アクセルを急激に閉じない限りは収束しやすい。
- スポーツ性という面ではトップクラスだが、単純な乗りやすさではブリヂストンのほうがやや上か(スーパーコルサ除く)。ちなみに温度依存性を下げたスーパーコルサSPもあるが、めちゃくちゃ高いので普通は手を出さない。
- メッツラー M3
- M3はスポーツツーリングタイヤなのでグリップ力という面では不足だが、一応M5やM7RRなど含めたメッツラーのハンドリングがわかったと思うので書いてみる。
- ヨーロッパでのハイスピードコーナリングを想定していると思われ、ミシュラン同様とてもバンクが軽快なのでコーナリングが楽。しかしミシュランと違い、タイヤがかなり硬く表面もサラッとしているので接地感に乏しく信用しにくい。
- タイヤが硬いので強い荷重を掛けるのも難しく、流しでは乗りやすいのだがいざ本気で走ろうとするとグリップ力に一抹の不安を覚える。スポーツツーリングなら相性バッチリだが、スポーツ走行メインなら選ばないほうが良い。K1/K2/K3のハンドリングはわからない。
サーキットでも山道でも、扱いやすくバランスの良いRS11か、スポーツ性が高くグリップレベルも高いロッソコルサ2がオススメです。正直ミシュランもかなり良いと思うのですが、イマイチ情報が少なくて他社を選んでしまっています。
スポーツ走行をしたいなら下のレベルのタイヤを履く意味はない
まだ初心者なのでそれほど高いクリップ力は必要ないとか、ツーリングもするからライフが良いものが良いとか色々あると思いますが、練習をしたいならハイグリップタイヤ一択です。
まず理由の1つが、そのタイヤのグリップ力の基準は新品の時のもので、摩耗に従ってどんどん下がっていくことです。新品のツーリングタイヤで十分に山道を走れたとしても、7分山にでもなれば相当に大きなハンドリングの変化を感じるはずです。
逆にいうと、もともとのグリップ力が高いタイヤ、オススメはしないですが公道でスーパーコルサを履く場合、ツルツルになっても依然として公道では十分なグリップ力を持っています。なのである意味、スポーツ走行でのライフという面で見ればそういったプロダクションタイヤが最も経済的です。
また基本的にどんなタイヤでもバンクさせて走ればサイドが同じように減っていきます。例えばツーリングタイヤで山を走ると、センターは全く減らないのにサイドだけあっという間に無くなったりします。スポーツ走行をする時点でセンターよりサイドが先に無くなりますから、やはりハイグリップタイヤがオススメとなります。
それとグリップ力が高いタイヤを「上手く扱う」ことも練習の一つなので、常に一番良いタイヤを選びたいものです。