常識すぎて誰も語らないバイク話

ベテランライダーがバイク乗りの考え方、実情、ライテクなどバイクの世界を語ります。
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サーキット上級者への道

サーキットでバリバリ走るために必要な知識・練習をまとめています。バイク初心者からサーキット中級者まで役に立つ記事を目指しています。

本間利彦さん流の最高峰ライテクメモ

YouTubeで本間利彦さんがライテク動画をアップロードしてくれているので、それを整理してみました。

作成:2020年6月22日

ライディング ch HOMMA TOSHIHIKOより。かなりレベルの高いライダー向けの解説ばかりなので、全部モノにするのは難しい。

曲がるためのマシン前後重心

スポーツマシンは前後重量配分が大体50:50で、そしてマシンが一番曲がるのは前後が同じ高さである時。そこでフルバンク中のパーシャルで向き変えを待っている時、ここでその前後同じ高さで一番曲がる状態を作るようにセッティングする。この姿勢を作るのが一番先。当然ライダーのフォームも影響する。

フロントが高い場合はフロントが外へ逃げ、低ければ切れ込むので突き出しやプリロード、スプリングレートなどで調整する。

逆にアクセルを開けてないとバイクがバランスしない場合はリアが高いので、リアサスのプリロードを抜くかフロントを上げる。

サスペンション セッティング

ブレーキでフォークの残ストロークが5〜10%となるようにスプリングレートや油面、プリロードで調整する。そもそもブレーキの掛け方が荒いとストロークしすぎるので丁寧に。

同様に加速でリアサスの残ストロークが5〜10%となるようにプリロードで調整する。こうして前後のストローク量を合わせると、パーシャル時に前後重心が合いやすくなる。

ブレーキングで止まらない場合、フロントが柔らかすぎて前下がりになりすぎている可能性がある。その際はフロントのプリロードを掛ける。

減衰はサスペンションが動いた後のおつりを抑えるために必要だが、ストロークする上で動きを阻害するのでグリップ力に対しては必ずマイナスになる。そのためスタートとしてはおつりがなくなるくらいに減衰を抜く。

Fの圧はブレーキの掛け始めでストロークのおつりが来ない程度まで弱める。Fの伸びは路面追従性を下げるので、旋回性を上げるために少し強めるのは良いが強めすぎると抜けやすくなる。

逆にリアは柔らかくすることでグリップ力は落ち、スライドコントロールはしやすくなるがタイムは落ちる。スライドしてるからと言って速いわけではない。またリアが下がるとフロント上がりでもあるので旋回性が落ちる。

リアが柔らかいと立ち上がりで開けていく時に、荷重が掛かってなくても開けやすいという利点は一応あるが、逆にしっかり荷重が掛かっている時ではグリップ力が得られない。リアを硬くするとグリップ力は上がる。

リアのセッティング方法

アクセルを開けにくい・滑るといったときには、パーシャルからの開け始めと、そこからさらにアクセルを開けていく時と、全開にする時とで対処が異なる。

パーシャルからの開け始めはリアサスの動き始めの縮み方・踏ん張り方の問題となるので、圧側の減衰を弱める。

そこからもう少し開けるところでは、同様に圧側の減衰かリアのプリロードを弱める。

全開にするところでリアがグリップしない場合はリアが低いことが原因なので、リアのプリロードを硬くするかリアの車高を上げる。リアが低くて旋回力が落ちてしまい、それで寝かせてしまうことでグリップ力が下がっている。スライドしやすく乗れてる気分になるがタイムは出ない。

下り坂でパーシャルからの開け始めでグリップしない場合は伸びを抜く。下り坂ではマイナスGとなり車重が軽くなるために伸び側減衰が効きすぎ、リアサスが伸びずに路面追従性が落ちるのでタイヤが浮いてグリップ力が下がる。フロントにも同様のことが言える。

前後のサス特性を合わせる

プリロードと減衰のバランスを前後で合わせないとチグハグな動きとなりおかしな挙動となる。

リアのプリロードを硬めたならフロントのプリロードも同様に硬くすることになるし、減衰をいじるなら前後の動きのバランスを考える必要がある。

ブレーキなしのコーナーは前後のバネレートと高さで決まる

多くのコーナーはブレーキしてフロントフォークが大きくストロークした状態からフルバンクしていき、CPでブレーキをリリースすることで前後サスは遠心力の横Gによって縮んで高さが決まる。

ブレーキなしでターンインするコーナーだと、前後サスはターンインからアクセル開ける直前までほとんど横Gだけで高さが決まるため、走りやすさは前後サスのバネレートとプリロードを含めた高さのバランスで決まる。

仮に突っ込み重視でフロントのプリロードを掛けすぎならばフロントが高すぎて曲がりにくくなるし、逆にここに合わせてフロントを最初から低くするとブレーキを掛けにくいし、CPからフル旋回する時もフロントは低くなる。

前後重心を考慮したライディング

フルブレーキングでは重心が100:0、フル加速では重心が0:100となる。ブレーキではライダーが後ろに体重を掛けてフロントから抜かなくてはいけないし、加速では前傾して多少フロントに荷重しなくてはならない。

しかしパーシャル時は50:50だから、100:0→50:50→0:100と滑らかに重心が移動するようにライダーは操作し、体重移動しなくてはならない。これが速く曲がるためには一番重要なことで、これができれば自然にコーナリング速度が上がりタイムが縮む。この練習には8の字が良いらしい。

加えて、パーシャル時はフロントは旋回に90%、切り込むことによってブレーキに10%のグリップを使っている。この時、アクセルを全閉にしているとリアは旋回に100%使うことにより、前後で速度差が生まれてプッシングアンダーとなってしまう。

そこでアクセルを10%分開けることで(加速も減速もしないパーシャルらしい)、前後とも旋回に90%使えて最大限のコーナリングができる。パーシャル区間でこのアクセルワークができるかが重要で、足りなければアンダー、開けすぎてもアンダーとなる。

ターンインのブレーキングでも全力で曲がる

速度をできるだけ落とさないコーナリングがタイムが出る。ハードブレーキングで速度を落としてアクセルをガバ開けする乗り方はタイムが出ない。だから少しでも多くのグリップ力をコーナリングに使って車速を落とさないことが重要。

ターンインではブレーキ100:コーナリング0、そこからCPまでにブレーキ10:コーナリング90となっていくが、ブレーキを緩めバンクをさせていくと同時にしっかり内側へ曲がれるようにする。

多くのライダーが強くブレーキしている間はブレーキに集中して曲がろうとしていないが、ブレーキを緩めて使える横方向のグリップ力があるなら、それで全力で曲がろうとしなくてはいけない。

コーナーを速く周るため、CPまでの平均車速を上げる練習

前後姿勢のためにもCPまでブレーキを掛け続けるのは必要で、早くリリースしてしまうとフロントが高くなってCPに付けなくなる。

コーナーの平均速度を上げるためには、やや早めに弱くブレーキングを開始することで早めに旋回にもグリップを使い始める。ハードブレーキングする必要がないため素直に曲がることができる。旋回に使えるグリップ力が大きいということは、高い車速で曲がれるということ。

ウォームアップや練習として、CPの車速を上げることから始める

ウォームアップでは、ターンインや立ち上がりは控えめにして、まずCP通過時の車速をいつもと同じにするようにする。そのためには前後重心に気を配る。それができたら、ブレーキやアクセルを少しずつハードにしていく。

タイムを縮めるための乗り方やセッティングでも、必ずCPでの前後重心を守りながらしていく。CPを無視して走ってもリスクが上がるだけになる。

加えてウォームアップでは丁寧な走りでアベレージタイムを整えつつ、少しずつタイムを縮めていってタイム更新を狙う。

クリッピングでは内側のハンドルを少し押し、あとは何もしない

CPではブレーキは離しているし、アクセルは加減速しないパーシャルで、ライダーができる操作はないし、何もしないのが最も良いコーナリングとなる。大前提として、前後重心が正しいこと。

マシンがフルバンクするとハンドルが少し切れ込むので、これをイン側の腕で少し押しながら(押し舵)深いバンクで自然に曲がる。腕は脱力してハンドルを軽く持ち、外乱に対して備える程度。ハンドルを切り増すことはない。

ハンドルをインへこじることで滑らせて曲がる

上記と矛盾するようだが、コーナリング中にハンドルを内側へこじることでフロントに荷重がかかり、スリップアングルが大きくなってフロントは曲がろうとする。グリップを超えればフロントは滑ることになるが、そこを利用して高い車速でも曲がりを強めることができる。説明ではリズムカルにグイッグイとインへ入れるらしい。

曲がる姿勢を作るまでは押し舵、パーシャルでの最大旋回に入ったらこじるのかもしれない。

ブレーキングでは腕の上側の筋肉で耐える

強力な減速Gには全身で耐えてできるだけ腕の力を抜くが、どうしても腕でも多少耐える必要がある。この時に腕の上側の筋肉を使って耐えることで、セルフステアを邪魔せずスムーズなハンドリングとなる。

小指と薬指を強く握った時に強張る筋肉を使う。ハンドルを小指と薬指で握り、ブレーキング時にはここで耐える。逆に中指、人差し指、親指を強く握ると腕は動かなくなるので、ここでハンドルを押さえてはいけない。

強力なブレーキングに耐える練習

車を運転する時にハンドルを小指と薬指で持ち、前方に押し込みながら運転するとブレーキングで使う筋肉の筋トレができる。またハンドルに力を入れているにもかかわらず、細かいハンドリングもできることが実感できる。バイクのブレーキングでも同様にセルフステアを妨げないことが期待できる。

ちなみにタイヤの偏摩耗がよく起きて真っ直ぐ進まない重いハンドリングのトラックこそこの練習に最適。トラック運転手は筋トレのチャンス。

ターンインではフロント荷重を大きくしすぎない

ブレーキでかなりの前荷重となっているので、上体を前傾するとフロントが重くなってしまいアンダーが出る。リアに押されてマシンが起きて曲がらない。

重心に対してちょうどいいフォーム、ブレーキの掛け方をして余計な力を入れずとも高い車速で曲がれるターンインをする。ブレーキをしないとマシンは寝過ぎるし、強すぎるとマシンは起き上がってアンダーが出る。

練習として、やや緩めの車速で入って強めにブレーキを掛け、フロント荷重が強すぎてアンダーが出るところを確認し、その手前の強さでブレーキを掛けるようにする。

ターンインでフロント荷重を抜く

ペースが速くなるほどブレーキが強くなりフロントの荷重がオーバーする。全身を使って荷重をリアに掛けて入っていくことで、フロントの負担が減り高い車速でのターンインができるようになる。

練習にはフラットトラックでリアが流れるオーバーステアでターンインするのが良いらしい。

ターンインでブレーキ、前傾、リーンインを合わせる

伏せてアクセル全開のところからブレーキで上体が起きて戻って、ブレーキを緩めつつ前傾を強くしていく。ブレーキを完全にリリースしてフロント荷重の確保がなくなる瞬間に、スッとハンドルにくっつくように前傾しきるようにしてフロント荷重をキープ。

ブレーキリリースしたことでフルバンクして動きが安定したら、旋回力を少し上げるためにここで初めて頭をインに入れる。フルバンクするまではわずかにインに入れつつも頭はセンターに残して人車一体を徹底する。

切り返しではフロント荷重を確保する

後ろ乗りでリアタイヤばかりに重さを掛けるとフロント荷重が不足してフロントが逃げやすい。ハングオフの姿勢は少し崩してもいいが、ストレートの部分を走っている時よりもう少し体を前にしてフロント荷重を確保する。

雨の日は前後ともプリロードを2mm下げ、ダンパーも全て1〜2ノッチ抜き、リアを4〜6mm上げる

切り返しでフロントの接地感が不安なら、サスの動きがブヨンブヨンにならないよう注意しながらフロントの伸びを2〜3ノッチ抜き、圧を1〜2ノッチ抜いてみる。

リアステア

リアステアはライダーの感覚的なもので実際にリアタイヤによって向きが変わっているわけではない。

ターンインでゆっくり寝かせるとフロントにばかり重さがかかりフロントヘビーになる。パンッと一気に寝かせることでリアタイヤにも荷重が掛かり、前後のバランスが良く曲がることができる。アウトから進入したり奥まで突っ込んでから一気に曲がるわけではなく、ライン取りは普通通り緩やかなR。

大きなサーキットでは練習できず、ミニサーキットやフラットトラックでやるべき。

MotoGPのマシン作りの傾向

コーナリング能力とブレーキング能力は両立せず、片方を高めるともう片方は悪化する傾向にある。タイムを縮めるにはコーナリングを重視するほうが良いが、MotoGPは4ストになってから徐々にブレーキング重視のマシン作りになってきて、現在は止まるが曲がらない(アンダーステアが強い)マシンになっている。極端なリーンインはそのため。

フレームなどマシンの作りの時点でそうなってきているが、これはサスセッティングにも当てはまる。ライダーをパスするためにブレーキング重視のセッティングだと曲がらなくなる。前輪の接地感も感じにくくなっているため、兆候なくいきなり転倒しやすくなっている。市販車にも当てはまると考えられる。

目線は先に先に送りながら走る

CPやコーナー外側など一点を凝視して走ると速度を落としすぎてしまう。ワインディングのタイトな回り込むコーナーで対向車を探しながら視線を先に先に送る時のように、公道に見立てて対向車が来ないか先を見ながら走ると良い。

目線とイメージ

ターンインではCP辺りを見つつ、ブレーキング開始点を横目で確認しながらブレーキ開始。通るライン、CPの位置、そしてCPまでの車速をイメージしながらブレーキを掛ける。CP到達までの車速を考え、見合ったブレーキングを心掛ける。

バンクを始めて徐々にブレーキを離していく段階で、CPから立ち上がりのことを考える。どうやってCPについて、どうやってアクセルを開けていくか。ターンインの仕方で立ち上がりは決まってしまうので、立ち上がりをイメージしながら走る。

膝で路面を蹴って転倒を防ぐ

オフ車は前輪が滑った時、出しっぱなしにしている内側の足が地面で踏ん張ることで前後輪に加えて足を使った3点でバランスさせて転倒を防ぐ。

ロードバイクでも同じで、フルバンクで膝を擦っている時に前輪が滑ったら膝を路面に蹴ることで回復することができる…らしい。

下手固めをしない

上手い下手の差はコーナリングスピードに表れる。今の自分の限界を少しずつ上げていく練習が必要。

普段の速度よりわずかに高い速度で入り、膨らみながらもなんとか曲げる練習をする。ミニバイクのような小さいバイクのほうが練習になる。

ブレーキを奥にして詰めるのは最後。

8の字は前後50:50の重量配分の練習

バイクは前後が同じ高さで前後の重さが半分ずつのときが、前後輪のグリップ力が等しく高くなるので一番曲がる。8の時は大きく分けて直線と2つの旋回区間に分けて走るので、その旋回区間では前後50:50を綺麗に作って一番曲がる状態を長い時間作る練習となる。

旋回中にアクセルを開けるとフロントの荷重が減ってフロントから転ぶし、リアはグリップ力が上がってアンダーになる。逆にアクセル全閉にすると減速するので後ろ向きへグリップ力を使ってしまう。なので加速も減速もしないパーシャルが最も高いグリップ力となり曲がる。仮に転倒するとすれば前後輪同時が理想。

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