常識すぎて誰も語らないバイク話

ベテランライダーがバイク乗りの考え方、実情、ライテクなどバイクの世界を語ります。
毎日更新中!所有歴はカブ、RS50、スパーダ、イナズマ400、GSX1400、ZX-10R、DR-Z400SM。

バイクのお話

バイクへの考え方や接し方、また実際のところとかを自分の経験を交えて書いています。

バイクの排気量クラスについての所感

全てにおいて完璧なバイクってないよね。「軽くて、しかし心地よい重量感があって、旋回力が凄くて、しかし安定感と安心感もあって、加速力が凄くて、しかしアクセルワークは過敏でなくて、トルキーで巡航が楽で、しかし高回転が良く伸びて、エンジンフィーリングが心地よくて、しかし決してノイジーではなくて、質感があって、しかしパーツは安くて…」。

相反する要素が多いし、人によって好みも違うし、コストとの兼ね合いもあって、ユーザーがどの性能をどこまで求めるか、逆にどこをコストダウンできるのか…万能のバイクというのはムリだから、それぞれの目的に特化した性能・性質のバイクをいくつもラインナップして広く対応できるようにする。

まあそんな建前はどうでもよくて、公道での一般的な使用を前提に、自分が思ってる各排気量クラスの特徴を挙げてみたいと思う。というか、好き勝手書いてあるだけ。。。

あ、ちなみにこれは「もしも一般道の時速60キロ制限がなかったら」という前提での話なのでご了承下さい。

50cc 原付(一種)

たかが原付、されど原付。まあそんな言葉聞いたことないけど、原付といっても侮れない。高校時代に原付に乗ってた方も多いだろうし、四輪免許を持つだけで乗れる。さらにその圧倒的な小型軽量から、非常にチョコマカと気軽に乗れる。特に普段大きな排気量のバイクに乗っているライダーが乗ると、そのあまりの気楽さに驚くほど(飽きるのも早いが)。

その軽さは走りを楽しむ時にも非常に有利に働き、ブレーキングは楽だし、簡単にバイクはバンクするし、立ち上がり加速はスロットル全開、これが楽しい。原付スクーターで小道を走る…周りから見たらショボイ行為かもしれないけど、乗ってる本人は満面の笑みですよ。

原付の30キロ制限の交通法がないと仮定して、一般的な原付は最高速はだいたい60キロしか出ないので、車の巡航についていけない。スピードを出しやすい道では四輪は60〜70キロで流れる傾向があるため、原付だと抜かされる恐怖に怯えながら走るしかない。それに、原付で60キロ巡航というのは疲れやすい。

原付は手軽だけど、至らない部分もかなりあるということになる。一番いいのは、近場(10キロ以内とか)の手軽な移動手段として使うこと。細い道が多ければなお良し。 ↑戻る

125cc 原付二種スクーター

最も合理的なクラスで、人間の感性などを無視して理論だけで考えると、最も素晴らしい選択だと考えられる。

まずパワーが必要十分。アクセル全開すればシグナルダッシュには十分な加速力で、最高速も大抵95キロ以上は出る。非日常的な体験をしたい場合を除いて十分なパワーと言える。またスクーターなので収納力があり、カッパ入れっぱなしとかは普通だし、よく飲みかけのペットボトルが埋蔵されてたりする。ちょっとした小物の買い物にももちろん対応。

金銭面でも非常に優秀。まず燃費が良くて、アドレス125で普通に開けて走って40km/1Lという記録が出るらしい。また任意保険が安いのも特徴で、例えば対象21歳以上として、対人対物無制限、搭乗者傷害保険なし…といった感じでも普通は大体1年で3万前後。それが、125ccまでのバイクにはファミリーバイク特約というものがあり、四輪の任意保険に入っている場合は1万程度の金額で、対人対物無制限、ただし搭乗者傷害保険はなしという内容の保険が付く。税金も安いし、所有していても負担になりにくい。

また一般道での走行性能に優れているというアドバンテージもあり、ギアチェンがないから混沌とした公道の状況にフレキシブルに対応しやすく、加速力も十分、車体は小さいからすり抜けが非常に楽。渋滞路では2種スクには喧嘩を売らないほうがいい。仮に同じ腕前だとしたら、大抵2種スクのほうが有利。もちろん、鬼すり抜け自体ナンセンスなのだが…。

ただバイクは趣味性の強い乗り物。理論的に考えれば「必要十分な性能にして金がかからない」最高に合理的な乗り物なのに、「もっとパワーが欲しい」「もっとデッカくてゆったりしたい」「シフトチェンジしたい」などなど思ってしまうもの。まあライダーはロボットでなく人間なので「感性」というものがある。楽しいのが一番に決まってます。言うまでもなく、2種スクが楽しいならその人は勝者。 ↑戻る

250cc 4stクォータースポーツ

TWのような単気筒は乗ったことがないので、ホーネットやバリオスのようなスポーツ色の強いバイクについて。250クラスの強みは「大きな不自由なく何でも楽しめる」点。400ccクラスに比べ(体感的に)だいぶ軽量で、スロットルガバ開きできる、気軽なスポーツ走行には丁度いい具合のパワー、よく回るエンジンに楽しい高回転の伸び。スポーツ走行を愉しむには十分すぎる条件が揃っている。

また250cc以下は車検が存在せず自賠責を買うだけでいいため、この点でも気軽で金がかかりづらい。これは125ccにもいえることだが、セカンドバイクとしては特に適している。

ただし「所有できるのは1台だけ」となると、なかなか難しくなってくる。金もあまりかからないし、楽しいスポーツ走行ができるし、パワーも必要十分…だけどやはり物足りない。基本的に高級感や質感とも無縁のクラスなので(近年の250ccはカッコいい)、無難に何でもこなす器用貧乏というように見えてしまうことがある。

バイクをわかっている人が「250が一番面白い」と言うことがある。気軽なスポーツ性からだと思うが、でもセカンドバイクとしてならともかく、1台のみの所有となると割り切るしかない部分も多い。人間というのは難しいもので、金もあまりかからないし良いクラスなのだが、アクセルは結構開けるしかないしギアチェンも忙しいので、長距離だと疲れやすいという面もある。 ↑戻る

400cc ネイキッド

普通二輪免許で乗れる最大排気量。普通二輪免許しかない時は「やっぱ乗るなら400だよなぁー。400ってネイキッドばかりだな。ん? SV400? スズキのバイクだってキモイね。まっ、ネイキッドでいいか。XJRは定番かなー。ZRXも渋くていいよなぁー。ゼファーは遅いって評判だからいらないや。インパルスってイカツイなぁ、なかなかいいかも。イナズマ…は? なにこのダサイ名前。バッカじゃないの? 乗ってる人恥ずかしくないんかね(笑) やっぱCBかなー。ホンダだし間違いないよなー。」みたいな独り言は誰しも一度は言ったことがあると思う。

それが大型バイクに乗ると、「400ネイキッド = 俺より下の存在」みたいな視点を持ってしまうことがあるから困る。そういう人はもう一度400ネイキッドに乗るといいんだけど、結構面白かったりする。決して普通二輪免許までしか持っていないライダーがチョイスせざるを得ない中途半端な器用貧乏ネイキッドバイクなどではなく、250クラスの延長線上にあるような軽くてブン回せるクラス。250よりはパワーがあるので、扱いやすく手頃な印象を受けるはず。250ほどは疲れない。ただ巡航能力に余裕まではなく、もう少しパワーが欲しいなぁと思ってしまうことはある。

またネイキッドは威圧感や高級感が大事だが、400ccクラスの大きさでネイキッドを表現しようとしているために、大型バイクを知ってしまうとちっぽけに映ってしまうことも。当然、400ccで車体だけ大きくしてもしょうがないが、バイク屋で大型バイクを眺めた後に停めてある自分の中型バイクのもとに戻ると、悲壮感が漂っていること多々あり。

ただ、「デカイは正義」ではない。大型バイクなんて気にせずに、手頃な大きさと重量感とパワーで、振り回して遊ぶのが正解。大型バイクに乗った後に400ネイキッドに乗ると回せてマジで面白いですよ。セカンドバイクとしては少しでかくて贅沢だけど。 ↑戻る

600cc スーパースポーツ(SS)

1000ccにもSSはあるのに、600ccにもある。決して1000ccのスケールダウン版ではなく、パワーで劣っている分、ストイックな性格づけをされている車体が多い。1000SSに比べてパワーがないから、高回転域をより重視されたエンジン特性にしてある。GSX-R600に乗ったことがあるけど、アイドリング回転数での発進は400ccネイキッドより厳しい。そして回転数の上昇と共に凄まじいパワーに。

600SSはパワーバンドを使って走れる上級者向けのクラスと言われている。2st250で高回転を使ってギンギンに走っていた人からのステップアップに最適だそうで、それ以外では1000SSの方が乗りやすく楽だという評価が多い。ただし、高回転を使った限界域の走りは600SSの方が愉しいと言われている。ちなみに、400ccと比較するとたった200ccの排気量アップでも、パワーも性格も全く別格となっている。

正直、公道走行は「不可能か可能」かという意味で可能というだけで、四輪と一緒に走るのは苦痛。「そんなことないぜ。600SSでも一般道愉しいぜ」という方ももちろんいらっしゃるだろうが、その腕前なら他のクラスのバイクに乗ればもっと楽に愉しめると思う。サーキットや峠走行中心の人には選択肢としてアリだと思うけど、SSにしても1000SSの方がより汎用性があって無難。 ↑戻る

750cc ネイキッド・スポーツバイク

昔は「ナナハン」と言えば国内メーカーが自主規制で定める国内最大排気量だったので、大型バイクとして誰もが憧れる排気量クラスだったが、今やそんなのお構いなしにビッグネイキッドでも1200〜1400cc、アメリカンなどでは逆輸入車も含めれば2000ccクラスまであり、750ccは中間排気量に位置づけられている。昔は「ナナハン = 最大排気量で一番偉い注目の的」だったのが、今は単に「750ccということを表すだけ」になっている。CBナナハンとか。

750ccの排気量の特性として一番重要な点は国内で使うには丁度良いパワーというところ。適度に余裕があり、フルスロットルもしやすい最大パワー。そういったことから、CB750は必要十分な性能を持ち、かつ乗りやすい玄人が好む万能ネイキッドとして知られている。しかし、好むのは玄人だけのようで、今の750ccのラインナップは丁度いいパワーということでSSよりはマイルドなスポーツバイクが多くなっている。

しかし日本人はどうも「大きいのが好き」らしく、普通二輪の排気量400ccまでの制限を解き放たれてからは、より大きな排気量のバイクを好む傾向にある。すると、どうせ中間排気量の600〜750ccよりは、1000cc以上のリッターバイクに乗ろうする。欧州では600ccのような中間排気量クラスも人気があるのだが、国内では中間排気量クラスは売れないため逆輸入車ばかりで、価格が安くないのも大きな要因となっている。ちょっと金出せば圧倒的パワーを誇るリッターオーバーのバイクが買えるんだから、丁度いいパワーの750クラスに魅力を感じないのも仕方ないこと。

ただ近年このクラスではスポーティーで扱いやすいモデルがたくさん出ており、SSよりはマイルドで汎用性があるという面では、魅力的な選択肢の1つではないかと思う。SS乗りからすると物足りないけど、初心者やスポーツ走行に慣れていないライダーは乗りやすさに驚くかもしれない。 ↑戻る

1000cc スーパースポーツ(SS)

ハヤブサのようなメガスポーツと共に、実質上のバイクの頂点。フルノーマルでサーキットですぐに遊べる、というくらいに戦闘力が高いのが特徴。軽量な車体に圧倒的なパワー、そして高い運動性能。落ち着いた視点からすれば、こんな圧倒的なバイクが公道を走っているのは凄いことである。

メーカーから普通に市販されているという時点で、ある程度の安全基準はクリアしているのはもちろんだが、ライダーのさじ加減ひとつで全てが決まってしまうようなものである。

600SSと比べるとパワーに余裕があるので、600SSほどはストイックではない。故に使い方の守備範囲も広く、一般道を走るのも600SSよりは余裕があって楽だと言える。

SSやメガスポーツは1つの大きなステータスなので、別にその圧倒的な性能を使わないにしても、乗りたければ乗るべきだと思う。私も昔は「その性能を使わないのに、あんな走りづらい高いバイクを買うのは無駄だ」とか考えていたが、その理論を突き詰めれば125ccもあれば十分なわけで、自分が一番愉しいと思うバイクに乗るのが一番だ。実際、SSに乗っていれば羨望される。SS乗りを否定するのは、捻くれたバイク観を持つ変人だけだろう(昔の私のような)。

ただSSはやはり性能が圧倒的すぎるので、自制心を持つことと、安定した急制動ができるといったようなある程度の技術を維持しようとする姿勢が求められる。手足のように操れる方はともかく、本当は自信がないのに見栄で頑張って乗ってるのは危険ですらある。ちょっと練習するだけでも確実に技術が高まり、後に自分の命を救うことになるかもしれない。 ↑戻る

1100〜1400cc メガスポーツ

メガスポーツとは、スーパースポーツ(SS)よりもより高い速度域で安定した動力性能を有するバイクのことで、隼やZX-14R、CBR1100XXなどが該当する。サーキットではSSに敵わないが、超高速で巡航するような場合はメガスポーツのほうが圧倒的に楽。

冷めた視点から言うと、狭い日本ではSS以上にメガスポーツは性能を発揮しにくい。「スピードを出す」という面でだけ言えば、高速道路や地方の空いた道などに限られる。SSほどはとんがってないので一般道で乗りにくいということは少ないが、メガスポーツの本来の性能を発揮する場面は国内では少ない。バイクは乗り手次第なので、上手い人が乗れば山道でも超速かったりするが、それはメガスポーツの本来の目的ではないので。

とは言えバイクは趣味の世界なので、もちろん本人が気に入ればOK。価格も高いしメーカーも力を入れて開発しているだけあって、SSとともに高いステータスであり、やはりオーラが違う。街中のちょっとした取り回しや山道などで、重量があり大パワーなメガスポーツを涼しい顔で操るとかなりの優越感を得られ、自己満足しやすい。重量感があってデザインもカッコイイものばかりなので、その優越感が最大の魅力でもある。 ↑戻る

1200〜1400cc ビッグネイキッド

SSよりも重いくせにパワーもそれよりないという、性能面で言えば損しているビッグネイキッドは、狭い日本ではとても走りやすいバイク。それは重いといっても乗りにくい重さでなく、設計上、安定感が出るような重量感であることと、最大パワーよりもトルク重視のエンジン特性だからである。

日本の道路事情を考えてみてほしい。アクセルを思いっきり開けられる局面よりも、60〜70キロで走っている車の列に混じっていることの方が多いはず。こういう時、600SS/1000SSでは、「エンジン特性上、全く美味しくない回転数」となる。前が詰まって減速すれば、すぐにシフトダウンしないとノッキングしてしまうということもよくある。で、またノロノロ加速し始めて、ミクロ単位でスロットルをジンワリ開きながらシフトアップ。パワーが全く出ない回転域なのでストレスが溜まる。

その点、ビッグネイキッドはそんな日本の道路事情を考慮してあり、40〜70キロで走っていても莫大なトルクを感じられて愉しい…という設計になっている。国内ビッグネイキッドで最大排気量のGSX1400など、6速2000回転で70キロとなる。これがいかに低い回転数か、バイク乗りなら分かるはず。しかも1500回転ほどまで下がっても、そこからノッキングもなしにトルク感に溢れた加速が普通に可能。左折待ちなどでしょっちゅう前が詰まる日本では、これは大きなアドバンテージとなる。

それと、この車格とパワーの割に安価というのも大きな利点。SSやメガスポーツほど金がかかってないからだと思う。自分の01年式GSX1400は走行9000キロで40万で買えたし、弟はちょっと古いXJR1200を23万で買った(両方共ヤフオク)。

パワー(トルク)に余裕がある代わりに重量があるのは紛れもない事実。慣れれば普通に扱うぶんにはほとんど苦労しない程度だが、これほどのパワーが必要なければ750クラスくらいでもいいということになる。巡航能力という点では、750クラスは余裕があるというのに比べ、ビッグネイキッドは余裕を超えて少し持て余し気味という表現になる。

サーキットはさすがに辛いが、山道ではビッグネイキッドでも十分速く走れる。SSと比べると重量が目立ち、中間排気量と比べるとパワーはここまで要らないのに大柄すぎて扱いづらさがやたら目立つだろうが、タイヤやサスセッティングをしっかりすれば意外なほどビッグネイキッドも走る。 ↑戻る

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