常識すぎて誰も語らないバイク話

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ライディングテクニック鍛錬の間

様々なバイクがあれど、よほど極端な車種を除きライテクは共通しています。公道やサーキットで安全に速く走る乗り方をみなさんにぜひ知ってほしいと思います。

スポーツライディングとイージーライディング

イージーライディングという言葉は私が尊敬する和歌山利宏さんの書籍にあった言葉で、リラックスしたお手軽な走り方を意味します。スポーツ走行という言葉から想像されるスポーツライディングとは少し違う乗り方になります。誰もが意識することのないイージーライディングとは具体的にどういったものなのか、少し掘り下げてみます。

作成:2017年8月22日

無理のない操作で楽に走るのがイージーライディング

スポーツ走行が大好きな人は、アクセル・ブレーキをガッツリつかってハングオフするという、スポーツライディングに目がないと思います。ハングオフをしない曲がり方は気の抜けたコーナリングで、スポーツ走行ではない。そのくらい極端に考える人もいるでしょう。

ではバイクでのコーナリングはスポーツライディングしかないのかというと、もちろんそんなことはありません。普段、街中でみんなやっている普通の曲がり方、あれがイージーライディングの1つに当たります。

「普段街乗りでやってるんだったら、もうそれでいいじゃん」と言われればそれまでですが、もう少しイージーライディングを掘り下げてみます。

スポーツライディングをする目的は、より積極的にバイクに働きかけて限界性能を引き出し、安全に速く楽しくコーナリングするためです。いい加減に乗るより、丁寧な操作でハングオフしたほうが限界が上がり安全に走れるのは当然ですね。

でもどんな時でもスポーツライディングできるわけではありません。というより、できる状況は限られています。場所や路面状況、前走車の有無、疲労などにより普通に走らなくてはいけない状況もたくさんあります。

そういう時は体重移動はほとんどせず、ブレーキもそんなにかけずにだら〜っと曲がるでしょう。それは1つのイージーライディングです。が、それがイージーライディングの全てではありません。

峠でたまに見ませんか? ハングオフせずにニーグリップとリーンウィズで爆走する人。みんなハングオフするのに、むしろ体を後ろ側に引き起こして曲がる人。

多くのスポーツ走行好きは「あれはスポーツライディングじゃない」と思うと思います。確かにそうですが、必ずしもスポーツライディングじゃなきゃダメということもないのです。

イージーライディングはスポーツライディングに比べると底が浅いですが、しかしその中でも技術というのはあります。イージーライディングの走り方を具体的に考えてみましょう。

イージーライディングの操作

まずポジションはスポーツライディングとほとんど同じか、それよりやや上体を起こした楽なポジションとなります。ただし尻の位置はあまり動かさず、体重移動はあまりしないです。

またブレーキもかけないで惰性で曲がるか、弱めに短くかける程度です。どちらかというとアクセルをいくらか開いて、アクセルメインで曲がる走り方です。

ゆったり走る分にはブレーキやアクセル操作でそれなりのバンク角になって曲がれるでしょう。しかしペースを上げていくとこの走り方ではバンクさせにくくなってきます。

ではどうやってバイクを寝かすのかというと、相性の良い方法は上体を少し引き起こす方法か、わずかに伏せながら内側を向く方法です。どちらもバイクの安定状態を崩して寝かし込むことに繋がります。

スポーツライディングでも丁寧な操作で速さが変わるように、イージーライディングでもこういった操作をいかに的確に丁寧にやるかで大きく変わってきます。例えば遅いバイクに追いついてしまったら、すまし顔でツーリングっぽい走り方でぴったりつくことでスマートに道を譲るよう迫ることができます(冗談です)。

スポーツライディング並に繊細かつ大胆な操作ができるようになれば、流し程度のペースならスポーツライディングみたいに大袈裟に動かなくたって、アクセルとブレーキと上体のわずかな動きで簡単に優雅にクリアできるコーナーが多いことに気づくでしょう。

バイクによってどちらが向いているのか決まっている

例えばSSはスポーツライディングだけを考えられているので、イージーライディングだとまあ曲がるんだけど挙動が敏感なのでそれほどイージーじゃないと感じるはずです。バイクが「俺はこんなんじゃないぜ。もっと動いてよっ!」と主張してきます。

逆にアメリカンでスポーツライディングをしようとすると、ブレーキをがっつりかけるとフォークが動きすぎるし、体重移動はしづらく、ゆったりしたリズムでやらないと挙動が乱れてしまいます。イージーライディングより少し限界性能を引き出せるに過ぎず、あまり恩恵がなく虚しさがあるでしょう。

ネイキッドはそのあたりのバランスが良く、何も考えずに後ろに乗ってるだけで綺麗に曲がってくれるし、積極的に体重移動してハングオフしても気持ちよく曲がります。ネイキッドは様々なシチュエーションを想定してバランスよく設計されているのです。

制限の中での練習は結構有効

あえてイージーライディングを練習する意識は必要ないと思いますが、街中とか山道でも遅い前走車がいる場合は、あえて体重移動を制限して他の操作で曲げると良い練習になります。

アクセルとブレーキはがっつり使っても構わないので、ターンインではアクセルとブレーキでバランスの良い車体姿勢を作り、寝かし込みたいタイミングで体を少し引き起こしたり伏せたりします。そのままアクセルを主に使ってバランスさせて立ち上がります。

体重移動をあまりしなくても、アクセルでかなり車体の動きは制御できるとわかるはずです。微細なスロットルの変動でも挙動は変わります。それを知ることで、ハングオフする時でもそれを活用してより良いライディングになるでしょう。

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