常識すぎて誰も語らないバイク話

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ライディングテクニック鍛錬の間

様々なバイクがあれど、よほど極端な車種を除きライテクは共通しています。公道やサーキットで安全に速く走る乗り方をみなさんにぜひ知ってほしいと思います。

ターンインでのアクセルの上手い使い方

ターンインでアクセルを意識している人はほとんどいないと思います。大抵はライン取りとブレーキングでしょう。しかしアクセルを上手く使うことで安全に速くコーナリングできるのです。

作成:2017年8月2日

理想的なコーナリング

ターンインはバイクでのコーナリングにおいて最も重要な箇所で、ターンインが上手くいけばコーナリングの7割は成功してると言えます。そして一番難しいのもターンインです。

ワインディングでの理想的なコーナリングの要素を簡潔に書くと以下の通りです。

  • 力強く立ち上がり加速して強くブレーキできるほど速度が出ている
  • コーナー外側から進入し、限界までアクセルは開けたまま突っ込む
  • ブレーキは強く短く(車体の剛性が足りない場合は動きすぎない程度に強く)
  • 大回りで進入し、ブレーキをリリースしながら奥の方で一気にフルバンクさせて鋭角的に曲がる
  • ブレーキングからフルバンクさせるまでの間、アクセルは開けられるだけ開けておき、後輪を外側へ流す
  • フルバンクさせてからは、外側ステップで踏ん張りながらアクセルをどんどん開けていく

書くと非常にシンプルですが、違和感を覚える人も多いと思います。私の走り方は一般的な前ブレーキ引きずりによる前輪に頼った走り方とは異なります

前輪に頼った走り方の欠点

私も以前は伝統的なスローイン・ファストアウトで走っていました。ターンインでのブレーキングではアクセルをほとんど閉じてブレーキに専念し、ブレーキをリリースしながらフルバンクさせていき、そこからはじめてアクセルを開けていく。

普通の人はほとんどこの走り方ですが、ある程度上達してくると限界が見えてきます。この走法で速くしていくには、より高速で突っ込んでブレーキング勝負に持っていくことになります。

しかしフルバンクさせるまではブレーキングで確保した前輪グリップ力に頼っていて、この状態は車体のコントロール性が非常に低くなります。よくあるのはオーバースピードで進入してコーナー奥で曲がりがきつくなって、曲がれと祈る他なくなってしまう事態です。

バイクというのは後輪で制御するようにできていて(これの極論が後輪一輪車理論)、前輪はおまけなのです。ターンインでアクセルをほとんど閉じた状態で前輪のグリップ力だけで曲がろうとすると、いざというときに何もできなくなってしまいます。

公道では先がどうなってるかわからないこともあり、この走法で速さを突き詰めていくのは極めて危険だと言っておきます。加えて言うと、後輪は何もせず転がってるだけですからコーナリングも遅くなります。

では速くて安全なコーナリングとはどういうものなのか。

ターンインでもアクセルをできるだけ開ける

ブレーキするところでアクセルも開けるだと? と疑問に思う人も多いでしょう。しかしこれには理由があります。

前輪と後輪に分けて考えて下さい。ブレーキングの中心は前輪です。なので前輪は縦方向にブレーキでグリップ力を使い、曲がり始めると横方向にもグリップ力を使い始めることになります。バンクしていくにつれ横方向の遠心力が増えるので、その分ブレーキをリリースして縦方向に使うグリップ力を減らしていきます。

では後輪はどうでしょう。ターンインでアクセルを全閉にしている場合、バックトルクがかかり後輪が後ろへ引っ張られます。これは減速するだけならいいですが、これから曲がろうとする時にはマイナスに働きます。

4輪で考えるとわかりやすいですが、後輪が後ろに引っ張られてまっすぐを保つということはアンダーステアなのです。極端に言えばドリフトのように後輪が横に流れたほうが早く向き変えできるのですから。

では2輪のバイクで後輪を横方向へ流すにはどうすればいいのかというと、一番の方法はアクセルを開けることです。前コーナーから全開で来て、ターンインになったら車体が多少加速していくくらいにアクセルを開けたままにするのです。

ターンインではブレーキングでフロント荷重が増え、リアの荷重は減るので後輪のグリップ力は減っています。その状態でアクセルを開けるとグリップ力不足になり後輪が横に流れ始めます。

これはスリップではありません。確かに一気にガバ開けすればスリップする可能性はあります。しかし現代のタイヤは高すぎるグリップ力を持つので、仮に開けすぎたとしても大抵起こるのはプッシュアンダーで前輪が押し出されることです。

当然ですがこれには路面とタイヤの情報を掴む必要があり、外側ステップの足へ意識を集中させる必要があります。また万が一プッシュアンダーやスリップが起こっても外側ステップを踏んでいればリカバリーは容易となります。

このターンインでのフルバンクさせるまでの間のアクセル開度の調整が速く走るために非常に重要なテクとなります。小さすぎると後輪がグリップしたままで普通のコーナリングになってしまうし、大きすぎるとプッシュアンダーが出て曲がらなくなります。が、一般に想像されるよりはかなり開けると言っておきます。

この効果は「起きるか・起きないか」という単調なものではなく、「どこまで引き出すか」が焦点になるものです。慣れるにはアクセルを少し多めに開けながらターンインしてみて、繰り返しながら少しずつ開ける量を増やしていくといいでしょう。必ず感覚がわかるはずです。

このターンインでのアクセルの使い方は一般的でないので説明に多く文字を割きました。

ターンインでもアクセルを開けることで安全にも繋がる

アクセルを開けるということでアグレッシブで危険な走り方に見えるかもしれませんが、全く逆です。コーナリングがコントローラブルになり非常に安全です! 特にワインディングでは必ず実践してほしいと思います。

先に前輪に頼った走り方についてもう一度言うと、ブレーキで確保したフロント荷重から発生する前輪のグリップ力に全てを頼る走り方であり、速度の見込み違いなどが起こるとそこからアクションを起こすのはほとんど無理です。

ここでアクセルを開ける走り方の場合ですが、アクセルを開けていることで車体は安定しており、またアクセル開度で曲がり方をコントロールできます。出口が見えればアクセルは開けたままなのでチェーンの張りでギクシャクすることなく開けていけるし、きつくなればアクセルを弱めればいいだけです。

重要なのは、アクセルを開けることで後輪が横に流れるため、バイクがコーナー内側へ自転していて向き変えが早く、前輪に頼った走り方とタイムが同じなら余裕はかなりあるということです。

前輪に頼った走り方はブレーキングを間違えたらどうしようという恐怖感が常に付きまといますが、この走法では不安も少なく快適に楽しく走れます。

これはワインディングでの話で、サーキットではターンインでアクセルを閉じる一般的な走り方となります。サーキットでは進入速度が高くブレーキングもハードなため、アクセルを開けておくメリットが少ないし非常に難しいためです。一方ワインディングではサーキットほど進入速度が高くなく車体に余裕があるため、リアで制御したほうが安定して速く走れるのです。

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