常識すぎて誰も語らないバイク話

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ライディングテクニック鍛錬の間

様々なバイクがあれど、よほど極端な車種を除きライテクは共通しています。公道やサーキットで安全に速く走る乗り方をみなさんにぜひ知ってほしいと思います。

Uターンで安定して小回りするための操作

Uターンが苦手な人はとても多いと思います。それは頭のなかではハンドルを切って寝かし込みたいのに、どうやってもそうなってくれずギクシャクするからです。しかし物理的にどうすれば寝るのかわかれば操作が全然楽になります。

作成:2017年8月18日

焦点は深いバンク角とハンドルの切れ

スムーズなUターンに必要なことは、深くバンクさせてハンドルを大きく切る(切れ角の少ないSSなどはハンドルフルロックする)ことです。小さく回るには当然のことですが、しかし公道でこれをやるのは難しく、コツを知らないとなかなか上手くいきません。

では安定して小さくUターンする操作の流れを見てみましょう。後で詳しく説明するのでざっと目を通すだけで構いません。

  • Uターンの少し手前から軽く加速する。ブレーキするための速度を作る
  • 寝かし込む直前でフロントブレーキを強めに掛け、バイクを前のめりにする
  • ブレーキの時に上体をスッと伏せてハンドルに近づける。抜重のため
  • ブレーキの滑らかなリリースと共に上体を内側へひねりながら引き起こしていく。荷重が大きくかかる
  • セルフステアで大きく切れ込みながらバイクが強く倒れていく。倒れ込み方は上記のアクションの度合いによる
  • クラッチを全部切って丁度いいバンク角になったら半クラで当てるか、半クラを保ちながら少し多めに開けておく
  • 倒れ込み始めてからはリアブレーキをある程度踏み、寝かし込みを安定させる

これを極端にやると↓の動画のようになります。もちろん公道でこんなに激しくやっちゃダメです。

ジムカーナで一番下であるノービスでもこういうターンをします。最速クラスであるA級選手なんてとんでもないUターンを…。

よく見ると寝かし込み直前で上体が伏せて、直後にひねりながら引き起こしてるのがわかると思います。このUターン法ではアクセルやブレーキよりも上体の動かし方が鍵となります。これはかなり激しくやっているので旋回半径がかなり小さいのですが、小さな動きでも十分に効果があるので公道でも使えるテクです。

色々な操作が書いてありますが、全て安定した小回りをするためには重要なことです。バイクは物理的に、簡単には「フルバンク・ハンドルフルロックの状態」を作れないのです。気合とか力で強引に寝かし込むものでもありません。寝かせるための操作が必要になります。

前のめり状態を作る

Uターンだって一種のコーナリングです。なのでブレーキを使って前のめり状態を作る必要があります。重要なのはフロントフォークを縮めることなので、自分のバイクに合わせたブレーキをかけます。リッターSSなら結構強く掛け、250ccならそんなに強くなくても大丈夫です。

当然ブレーキをかけると速度が落ちるので、減速する分だけその前に加速しておく必要があります。ブレーキできるほどの速度が出せればOKですが、「急加速→急減速」というようにリズムよく強くやると車体が前後に大きくピッチングするため、より簡単になります。

それとブレーキングはあまり手前から掛け始めると強くできず前のめりにならないし、あまりに早すぎるとせっかく縮めたフロントフォークが伸びてしまったりします。とにかく寝かし込みたい場所でフロントフォークが縮んでいればいいのです。強く短くを意識しましょう。

そしてここがポイントなのですが、ブレーキをかけながら上体を素早くスッと伏せてハンドルに近づけます。これはこの後に上体を引き起こして荷重を一気に掛けるための前準備で、物理的には抜重が起こっています。

ブレーキリリースしながら上体を引き起こす

コーナリングで言えばターンインで、ブレーキをかけてフロントフォークが縮まり、アプローチする前準備ができています。

普通のコーナーならここでハングオフをして一気に寝かし込むのですが、Uターンではハングオフすると小回りできません。まあ常識的に考えてもUターンでハングオフはしませんね。

動きの限られる街乗りで、バイクを寝かすため荷重変動させる簡単な方法は上体を引き起こすことです。このためにブレーキをかけながら上体を素早く伏せたのです。

強いブレーキングで溜まっていた巨大な慣性力を上体を起こすことで一気に車体に荷重し、たまらず車体は強く切れ込みながらバンクしていきます。初めての人はこんなに自分から寝ていくバイクに驚くかもしれません。伏せと引き起こしがオーバーなほど強い寝かし込みができます

逆ハンなどの小細工は必要ありません。とにかくこの「伏せ→引き起こし」という単純な流れをするだけで荷重変動が起こり、バイクの挙動が大きく変化します。

さらに寝かし込みを強くするため、上体をひねります。私は普通のコーナリングに関しては胸板を内側へ向けるくらいで上体のひねりはしない人間ですが、低速で一気に寝かし込む場合は上体のひねりは有効です。これも上体の遠心力に対する抜重になるため、バイクを起こす力が弱まり寝かし込みに繋がります。

この上体の動きをしながら通常のコーナーのように滑らかにフロントブレーキをリリースします。バイクが曲がる時はいつでもフロントブレーキの扱い方は重要となります。

アクセルは半クラを活用し、リアブレーキを引きずって安定

これはバイクによるのですが、半クラを使わないとノッキングしたりエンストすることがあります。そうでなくても極低速域ではギクシャクしやすく、いたずらにリスクを高めてしまうため避けましょう。

クラッチを全部切ってしまう方法とずっと半クラにする方法、二通りがあります。個人的には公道では全部切ってしまう方が楽で好みです。好きな方でやってください。

クラッチを全部切る場合はリアタイヤがバイクを起こす力がなくなるため、バイクは寝やすくなります。丁度いいバイク角になったなと思ったらアクセルを多めに開いてから半クラにして、寝かし込みを止めて安定させます。特に大型バイクの場合はこちらのほうがオススメです。

ずっと半クラにする方法は、半クラをずっと保ちながらアクセルの量を調整して倒れ込みを操作します。慣れればこちらのほうが早く小回りで安定して美しくUターンできます。極めるならこちらでしょう。私は公道ではそこまで求めないので全切りしてます。

そしてもう1つ大事なのがリアブレーキを引きずっておくことです。これによりリア周りの挙動が安定し、チェーンの張りも安定するためギクシャクが減ります。一度使えばシビアさが減って気楽になるのがわかるはずです。踏み加減は車体と好みによるので、色々試してみて下さい。

練習するには少しずつ試す

公道ですから転倒するわけにはいきません。少しずつ感覚を慣らしていくのがオススメです。

まず「加速→減速」で車体を前後にピッチングできるようになりましょう。リズムが大事です。急制動みたいな急激なブレーキングは必要ありません。ある程度フロントフォークが縮めば十分です。

安定してフロントフォークを縮められるようになったら、次は減速の後に「伏せ→引き起こし」を試してみましょう。最初は小さくでOKです。車体がグワンとバンクするのがわかるはずです。上体のひねりも加えてみましょう。少し寝かし込みが強くなるはずです。

そこまで慣れたらもう大丈夫でしょう。次はクラッチを全部切るか半クラを使い強く寝かし込み、リアブレーキも引きずります。何度もいいますが少しずつ試して下さい。一気にやらなければ転倒することはないはずです。

↑セパハンだと少しやりにくいです。でもどんなバイクでもこの操作をすると小回りできるのは同じです。

逆ハンは必要?

逆ハンを簡単に説明すると、右に曲がりたい時にハンドルを手で左に切りこむことで、右に一気に寝かし込みやすくするというものです。

逆ハンには様々な意見があります。「楽に素早く寝かせるから有効」「向き変えが遅くなるので無能」「きっかけには使える」など色々な考え方があります。私としては、基本的に必要ないと思っています。

逆ハンのメリットは素早く寝かし込めることだけです。ではデメリットは何かというと、これはなぜ素早く寝かし込めるのか、その理由を考えるとわかります。

右コーナーで考えると、ハンドルを左に切ることでバイクは右に少し倒れ込み、そこで少し体重を右に移動することで重心が右にずれるためさらにバイクは倒れます。が、ここでハンドルは左に切っているためバイクはあまり曲がりません。なので遠心力が足らず、バイクは引き起こされずどんどん寝ていくのです。

そう、曲がらないから倒れるのです。コーナーって早く向きを変えることが重要なのに、バイクが曲がらなかったら速く走れません。曲がることより寝かすことを選んだ結果です。

ただし一口に逆ハンといってもやり方は様々で、ほんのわずかに逆に切るのも逆ハンだし、フルバンクするまで逆に切り続けるのも逆ハンです。体重移動せずに手軽にきっかけを作るために少しだけ利用するという考えも全然ありでしょう。

また確かにフルバンクに使えるのも事実で、逆ハンだけに頼るのは考えものですが、他の操作と合わせたら極小半径のUターンに使えるかもしれません。私は試したことがないので、今度動画で検証したいなと思ってます。

結論としては、手軽にバンクさせたかったら使ってもいいんじゃない、ということです。大体みんなそう考えてると思いますが。

↑ブレーキを使わずフロントフォークを縮めないと、このように小回りが極端に難しくなります。フロントが立っているので寝づらく小回りできず、不安定です。実はこの練習を続けてこの後、一度転倒しました(笑)

Uターンのプロフェッショナル

この見出しはウソではなく事実です。白バイ隊員は我々国民からお金をもらってUターンとか練習してますから、上手くなくては困ります。そして実際超上手いです。

装備重量300kgを超える超ヘビー級バイクでこれをやれるのはさすがプロの一言。Uターンの旋回半径だけで言えば、ジムカーナ選手がジムカーナ車両でやったほうがもちろん小回りできます。でも白バイって超重いんですよ。間違いなくプロです。

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