常識すぎて誰も語らないバイク話

ベテランライダーがバイク乗りの考え方、実情、ライテクなどバイクの世界を語ります。
毎日更新中!所有歴はカブ、RS50、スパーダ、イナズマ400、GSX1400、ZX-10R、DR-Z400SM。

試乗レポート

色々なバイクを試乗しており、その中から有用そうなものを書いていきます。

KATANAとGSX-S1000 試乗感想

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話題のカタナと100万ちょいと非常にコスパが良いGSX-S1000の2台を同じ日に試乗しました。どちらも走りに関して良い評判を聞いていたので、その違いも含めて楽しみにしていました。

試乗したのはさいたま市のサイクルロードイトー指扇店というお店。スズキの試乗車がたくさん置いてあり雰囲気もいいお店。

試乗した結果あまりに良かったのでカタナを新車で買いました!

←ちゃっかり店の売り物のように並んでいるウチのZXー12R(笑)。

実はGSX-S1000は店のスタッフの車両らしく、ストック状態に完全に戻していると言っていたが若干違う部分があるかも。

書いている人のスキルについては管理人について/現在のスキルなどの記事をどうぞ。

作成:2019年9月30日

ライダースペック

身長: 175cm
体重: 55kg
座高: 普通の日本人より高く胴長短足

ポジション

カタナは初めて跨った瞬間に違和感を覚えるもので、まずシート高が思ったより高い。リアサスは初期の沈み込みの動きは良く、そこからはコシがある。シート左右に少し幅があるので脚をまっすぐ下ろせず足付きは若干悪い。そしてステップはかなり低い位置で、明確にツアラーらしさを感じる。そしてそこにかなりの高さのハンドル。

止まっているとちぐはぐしか感じないが、低いステップは脚にゆとりを与え、開放感すら感じるライディングに寄与している。そして高いハンドルは違和感だらけだったものの(ZXー12Rで試乗に行ったこともあって)、ものの数キロで体に馴染み快適さと楽しさの両面をライダーに強く印象付けてくる。これは乗らないとわからないと思う。

katana_01.jpg

対してGSX-S1000はストリートファイターとして一般的なポジションで、やや低めで一直線に近いバーハンドルと高めのステップのおかげで体をいつでも動かせる。ただしシート高が低いため脚に窮屈感がある。カタナの後に乗ったこともあり、この一直線に近いバーハンドルにどうにも慣れなかった。もっと手前に絞ってあるほうが乗りやすいと思う(ポジションは個人差が大きい)。

つまりこの2台は兄弟(親戚?)なのにこの時点でかなり大きな違いがあるということになる。簡単に言うとGSX-S1000は戦闘的、カタナは開放感あふれる大柄で緩いポジション。

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エンジン特性

次に面白いのがエンジン特性の違いである。どちらもGSX-R1000 K5のエンジンをベースにしながらもフィーリングが若干異なる。

カタナは3500回転からの伸びがこの上なく気持ちよく、加速が最高に楽しいマシンである。エンジンはホンダの精密モーターではないし、カワサキの無骨さと空気圧感が感じられるものでもない。乗っている人にしかわからない、スズキのあのギュイィィィーというエンジンだが、3500回転から明らかな伸びと膨らみがあり速度がどんどん乗っていく。アクセルグリップの軸を楕円にした機構が影響しているのか不明だが、明らかに中低速トルクはカタナのほうがあり気持ちいい。

GSX-S1000はよくあるSSベースのエンジンである。いや、カタナも同じはずなのだがカタナと違いこちらは普通の無機質なSSのエンジン。アクセルを開けただけギュイィィィーと加速していき、1速の全開なら「もうこれ以上いらない」というほどの凄まじい加速を見せるし高回転域では相当なパワーだが、ただ開けただけ加速が起こる感じである。カタナのような伸びや一種の空気の共鳴のような気持ちよさはこちらにはない。本当に不思議だ。

これが、ただ走ってるだけで気持ちよくイケイケの気分になってしまうカタナと、忠実だがただの作業感が伴うGSX-S1000との最大の違いだと感じた。

katana_02.jpg

走り

普通の一般道なのでほとんど走りはわからなかったが、それでもやはり2台の違いは感じられた。

まずカタナは流す時点で気持ちいいということである。ハンドルが高いのでガシッとハンドルを持っていると邪魔して曲がらなくなるが、普通に少し腰をずらして体重移動して下半身ホールドで乗ると実に気持ちよく曲がる。フロントフォークが少し柔らかめでよく動くので、一般道でよくある普通の微妙なカーブでも気持ちよく曲がれてしまうのは絶妙なセッティングのおかげだと思う。

実は以前にヴェルシス650を試乗したことがあり、ポジションがかなりこのカタナに似ており、そして柔らかいフロントフォークという点でも似ていた(ヴェルシスよりは全然硬いが)。ヴェルシスはあまりにフロントが柔らかいために、コーナー中にフロントブレーキをかける乗り方を非常に苦手とした。切り返しなどでもフロントを縮めたままでは無理で、リアからバンクさせてリアで切り返すというものだった。が、カタナはやや柔らかいものの動きが良くコシがあり、計算しつくされた特性だと感じた。

対してGSX-S1000は本当によくある殻剥きSSといった印象のマシンである。前後サスの動きは硬めで動きは少なく、やや動きに渋さがある。ただしアクセルを開ければ開けるほどリアが踏ん張っていたので、どうやらかなりスポーツ寄りの設定になっているようだ。流しの時点で既に気持ちいいカタナとは裏腹に、こちらはそれなりの走りをしないとサスからの情報が少なく接地感が薄い印象。そういう意味で本当にSSっぽい(いい意味ではないが…)。

街中ということで荷重が強くかかっている時の挙動がわからなかったのが残念だが、街中で乗るなら絶対にカタナということがよくわかった。ちなみに2台ともブレンボのキャリパーが付いており、非常に強い制動力があり制御性も良いと思った。

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所感

この2台は似ていてカタナが30万円ほど高いが、もし自分が買うなら絶対にカタナがいいと思う。GSX-S1000をどういじってもカタナの面白さは出ないはず。

カタナは高いハンドルが…という人が多いが、実際に乗ってみるとなるほど、快適性と楽しさを第一に考えた上でスポーツ走行も普通にできそうな感じなので良いと思った(あくまで街中で乗った感想)。カタナは低いステップにあのフィーリングのエンジンなど、様々な要因の組み合わせからあの気持ちよさが成り立っているはずなので、ハンドルは変えないほうが絶対にいいと思う。恐らくマフラーも変えないほうが良さそう。

GSX-S1000は明らかにスペックに対して価格が安いので、安くて速いマシンが欲しい人には最適だと思う。若干デザインが地味で他社のようなブランド力がないので周りの目を気にして買うバイクではない。ただし中身は思ったよりストイックで真面目な作りなので、街中でのゆとりや流しでの気持ちよさはあまり期待できず、サーキットや山道がメインの人にしか勧められない。

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