常識すぎて誰も語らないバイク話

ベテランライダーがバイク乗りの考え方、実情、ライテクなどバイクの世界を語ります。
毎日更新中!所有歴はカブ、RS50、スパーダ、イナズマ400、GSX1400、ZX-10R、DR-Z400SM。

試乗レポート

色々なバイクを試乗しており、その中から有用そうなものを書いていきます。

試乗レポート: YAMAHA MT-01

V型2気筒 1670cc の大排気量で、ズゥゥ〜ンと重量感のある低回転からの圧倒時なトルクで体をもっていかれ、特徴的な鼓動によって乗り手を至福にする。とにかく斬新なバイクだった。

作成:2008年5月1日

ライダースペック

身長: 175cm
体重: 55kg
座高: 普通の日本人より高く胴長短足

特徴的な鼓動と圧倒的トルク

大きなサイズの画像を表示

このバイクの一番の特徴は、体を震わすような大きな鼓動と低回転からの圧倒的なトルク。

まず鼓動。これは「バイクの心臓部から、心地良い鼓動が伝わってくる」のような生やさしいものではなくて、もうバイク全体が大きく振動している。

その鼓動はいかにも機械としての鼓動という感じで、生き物として静かに鼓動している感は全くない。

個人的には固く機械的すぎて馴染めず、イナズマの小刻みな4気筒油冷フィーリングが恋しくなった。この振動はちょっとした街乗りならいいかもしれないが、長距離だと疲れないのだろうか…?? 慣れ…なんだろうか…??

後に同じヤマハのXV1900CUというアメリカンに乗ったことあるけど、その心地よい身体に吸収されていく鼓動感とは大きく違い、言わば身体を叩くような振動である。

次に莫大なトルク。1気筒当たり 835cc という驚異の値は伊達ではなく、低回転からズゥゥ〜ンと圧倒的なトルクで引っ張ってくれる。街中では持て余すが、「全開にしたら体が吹っ飛びそう!」というような感じはしなかった。

これは重心やフレームの強度などを含んだマシンの性能が良いからなんだろうけど、「面白み」という面から見るとちょっとイマイチかも。スイングアームやフレームがしなる感じとかがあったほうがアクセルも回し甲斐があるというものだ。

高回転まで回しすぎると鼓動が速まりすぎて逆に希薄になるので、低中回転域を使うのが良い。鼓動で盛り上がりすぎると疲れてしまうが、そういう時はシフトアップして回転数を抑えてあげれば落ち着いた振動となる。

大きなサイズの画像を表示 大きなサイズの画像を表示

低重心と前傾ポジション

乾燥重量243kgというカタログスペックと莫大なトルクから「ものすごく重そう…」と思ってしまうが、現代技術の結晶なのか重心が低く抑えられており、意外にも押し歩きが普通にできてしまったりする。もちろん傾けちゃダメだが、冷静さを保っていれば倒しそうになってヒヤヒヤすることはない。

ポジションはツアラー程度の前傾になっていて、アップハンに慣れすぎた私だとちょっと疲れたが、適度な前傾であって、しかもポジションの自由度がとても高い。基本は腰を丸めてニーグリップと足のくるぶしで固定して、下半身で乗る。慣れれば気持ちよく乗れそうだし、「このポジションに慣れてやるっ!」と強く思わせてくれた。

大きなサイズの画像を表示 大きなサイズの画像を表示

扱いやすい挙動

乾燥重量やポジションとは無縁に、極低速でも非常に扱いやすい。下半身で乗れていれば、フラつくことなく静かに停止することも難しくなかった。右左折の際も、多少マシンを傾けても完全に安定しているので全く不安がない。街乗りで唯一不安な点は、Uターンのやりにくさ。ハンドル切れ角の少なさと重量から、慣れていないと一般道上では極めて困難。

スロットルに対する反応が敏感なので、ギクシャクしてしまうことはやはりある。軽くスラロームをやってみようと思ったが、敏感なスロットルに莫大なトルクなので難しい。

またトルクが極太なので、クラッチワークは繊細さが必要…とまではいかないが、あまりラフに行うべきではない。例えば、半クラか完全に切った状態で小さく曲がっている状態から繋ぐ際、スムーズに行わないと一気にマシンが立ってアウトに膨らんでしまう。疲れている状態などでハンドルに力を入れている状態だと、極めて危険なシチュエーションだ(体験談)。

日常での使い勝手・ツーリング

足として使う場合、押し歩きもそこまでは苦じゃないし、短時間の街乗りなら存分に鼓動を楽しむことができそう。アップマフラーやタンク形状から、荷物の積載などには苦労させられそうだが、ふらっと街中を流したりするのに合うと思う。

ツーリングの場合、荷物の積載だけクリアできれば問題なさそうだ。機械的な鼓動を堪能しすぎるとあっという間に疲れてしまうのだが、そんな時はシフトアップして低回転を保ち癒しの鼓動モードにチェンジすれば多分大丈夫。

慣れてしまえば、マイペースにどこまでも行けそうなバイクじゃないだろうかと思う。ただカウリングがないので、高速で飛ばし続けるのには向かないだろう。まったりツーリングが合ってそうだ。

MT-01の位置づけ

ジャンル的にはアメリカンに近いが、アメリカンでは街乗りやツーリングなど用途が限定されすぎている。だから、もうそれを少しアクティブにしたものが MT-01 だと思う。もちろん、鼓動感やデザイン、扱いやすさなど、コンセプトとしてもとても斬新。「アメリカンがいいと思うけど、あれはちょっと極端すぎるなぁ…」という方には選択肢の1つになるかもしれない。

インスピレーションが大事

こういう個性的なバイクは直感的に「絶対に俺の相棒はコレだっ!」というのが一番大事だと思う。あれこれ良し悪しを考えている時点で、その人には向かないかもしれない。

でもこういう超個性的なバイクを作る YAMAHA は凄く好印象だ。

試乗レポート・インプレッションの目次へ戻る

トップページへ戻る

更新履歴
現在の人気記事はコチラ!