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基礎知識[2]「荷重とタイヤのグリップ力」

ライディングの視点から理屈を書いていますが、文系の人間で物理を習っていないので細かい部分が違う可能性もあります。

作成:2021年12月9日

前のページ:基礎知識[1]「タイヤのグリップ力」

荷重とはモノに掛かっている力

モータースポーツの世界で荷重と言うとアクセル・ブレーキの加減速で生じる縦方向の慣性力(縦G)と、曲がっている時に生じる遠心力(横G)の2つの話がほとんど。ただし四輪と違って二輪は車重が軽く人間の体重が影響する部分が大きいため、重力で生じる垂直方向の荷重(鉛直荷重)も意識しないが重要。

四輪だとブレーキやコーナリングでの縦Gや横Gはだいたい最大0.9Gらしい。わかりやすくフルブレーキで1Gが発生していたとする。静止していたら重力により車重とライダーの体重が前後タイヤに掛かり、これが1G。そこに1Gが足されるから掛かる重さ(荷重)が2倍になるのでタイヤは大きく潰されてグリップ力が高まる。

ブレーキングの場合、減速Gで車体とライダーが前につんのめるのでフォークは大きくストロークして前輪に急激な荷重が掛かる反面、ブレーキが強ければ強いほど後ろ側の荷重が減るので後輪の荷重は小さくなり、後輪が浮くほどならもちろん後輪の荷重は0になる。だからフルブレーキではリアブレーキは使いにくい。

もちろんブレーキを掛けている時は荷重が強まるし、弱めた途端に弱めた分だけ荷重は減る。ライディングはこの荷重変動を上手く扱ってバイクの挙動を変えて操る。単純にアクセルは加速、ブレーキは減速だが、それ以上に荷重コントロールを考えて乗ることが重要となる。

遠心力と前後重量バランス

コーナリング中なら遠心力が掛かっており、これを前輪と後輪に分けて考えることが重要となる。

バイクのタイヤは前後サイズが違うが、横方向の最大グリップ力はほぼ同じと考える。だからコーナリングで横方向のグリップ力を最大に使いたい時、バイクの前後重量バランスが同じでライダーもちょうど真ん中に座っていた場合は、前後ともバランス良くグリップ力を使えることになる。

しかしSSなら4気筒のエンジンが重いのでフロントの方が重いし、ビッグスクーターならリアの方が重い。ライダーは前後のバランスを感じながら自分の重心を動かすことになる。

あくまでフルバンクで最大に曲がっている時の話なので、常にライダーが前後バランスの良い位置にいれば良いという意味ではない。フルブレーキなら後ろに荷重してフロントに掛かる荷重を小さくした方がいいし、加速する時もリアに多少の荷重が必要。

tyre_grip_circle.png

タイヤは少し滑っている時が最大グリップ力

タイヤは荷重が大きくなるほど食いついてグリップ力が上がる。荷重が大きすぎて限界を超えればタイヤは滑るのだが、仮に荷重を少しずつ高めていったなら滑りは唐突ではなく徐々に滑っていくようにできている。

そしてわずかに滑っている時が最もタイヤはグリップして高い次元で走ることができる。なので最大のコーナリングは前後タイヤ両方が少し滑っている時ということになる(無理だが)。

最高のコーナリングは横Gだけにグリップ力を使う

そうするにはどうすればいいのか。ライダーのフォームや前後の車高などを無視してタイヤの荷重だけで考えると、縦Gがゼロで横Gが前後タイヤに限界まで掛かっている時となる。

縦Gがゼロということは加速も減速もしてはいけないということなので、アクセル全閉では減速なのでダメということになる。クラッチを完全に切ったりギアをニュートラルに入れる(これは無理だけど)のも、わずかに減速するので縦Gをわずかに使っている。わずかにアクセルを開けて、加速も減速もしないパーシャルにする必要がある。一般道を60キロ巡航する時のアレである。

横方向に最大にグリップを使うには、ターンインのブレーキングの段階でしっかり縦にタイヤを潰して、前輪のグリップ力を高める必要がある。その状態でブレーキを緩めていき縦に使うグリップ力を減らしながら寝かせて曲がることで、今度は横にグリップ力を消費することでタイヤへの荷重を維持して高いグリップレベルをキープし、最終的に横方向だけに最大にグリップ力を使うことになる。

しかし前輪はブレーキでグリップ力が高まるが、後輪には縦Gがほぼ掛かっておらず横Gだけとなる。つまり寝かせて曲がって遠心力が掛かるまでは前輪ばかり仕事することになりフロントヘビーになる。そのためターンインでは勢いよく寝かせてリアタイヤに荷重を掛け、前後でバランス良く曲がることが大事となる。

おそらく筑波サーキットコース2000だと体感しやすい

TC2000はAssettoCorsaというレースシミュでしか走ったことがないものの、四輪なら最終コーナーでこの理論が通用する。

Rが大きなコーナーとしてボトム速度を落とさずに処理するとタイムが出る。ターンインで車速を落としすぎるとタイムロスで、車速をキープしつつそろーっと丁寧にハンドルを切り、舵角が決まって姿勢ができたらわずかにアクセルを開けると抵抗なく軽々曲がれる。加減速にグリップを使わっていない状況で横Gが最大に掛かっているからのはず。

二輪でももちろん通用し、個人的に印象深いのはMCコーナーで右から左に切り返した後80Rまでの加速で、上手い人ほど切り返してフルバンクで姿勢ができた瞬間に力強く加速する。タイムが出ていない人は切り返した後にリアサスが落ち着いて開けられるまでにタイムラグがありロスしている。

どうしてすぐに加速できるのかは様々な要因があるが、その1つは加速も減速もしないパーシャルを即座に作れるからのはず。

ブレーキを引きずりすぎ、アクセルを開けながら曲がるは限界が下がる

フロントブレーキを掛ければ前輪が、アクセルを開ければ後輪が縦方向にグリップ力を使うため横方向に使えるグリップ力が下がり、つまり曲がらなくなる。

ライン取り的にフロントブレーキの引きずりはクリッピングポイントで完全にリリースし、そこからは最大に曲がることを意識する。ブレーキの引きずりが必要なら前輪の荷重が足りないとか、フロントの車高が高いなどの原因が考えられる。

また、イン付きが早かったり速度落ちすぎでコーナー途中で開けてしまう場合、開けられるということはグリップ力の余裕があり本来はもっと高い車速で曲がれるはずだし、開けた分だけ縦方向にグリップ力を使うのでやはりコーナリングの限界は下がる。

結局グリップ力を最大に使うことを第一に考えると、アウト・イン・アウトの大きな旋回半径で高い車速で全力で曲がらなくてはならない。ブレーキを頑張りすぎたり、車速を大きく落としてでも立ち上がりで一気に開ける乗り方はタイムに繋がらない。

前のページ:基礎知識[1]「タイヤのグリップ力」

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