常識すぎて誰も語らないバイク話

ベテランライダーがバイク乗りの考え方、実情、ライテクなどバイクの世界を語ります。
毎日更新中!所有歴はカブ、RS50、スパーダ、イナズマ400、GSX1400、ZX-10R、DR-Z400SM。

ライディングテクニック鍛錬の間

様々なバイクがあれど、よほど極端な車種を除きライテクは共通しています。公道やサーキットで安全に速く走る乗り方をみなさんにぜひ知ってほしいと思います。

ワインディングで最強のハングオフの仕方

楽しいが常に危険が伴うワインディング。安全でコントローラブルなハングオフの仕方がわかれば、もっと楽しく積極的に走ることができます。

作成:2017年8月15日

素早く一気にフルバンクへ持ち込む!

バイクはフルバンク状態が当然一番曲がるわけですが、バンクのさせ方で安全性も速さも変わってきます。そして山道に多い、狭い道幅できついRのコーナーでの一番いいハングオフの仕方は、一気にフルバンクへ持ち込む走り方です。ライン取りについての説明はワインディングにおける安全で速いライン取りの記事をお読み下さい。

では素早くバンクするにはどうすればいいか。

車体をバンクさせる方法

先にどうやったらバイクはバンクしてくれるのかを簡単に整理しましょう。

ライダーが横に動いて重心をずらす
重力の力でバイクが倒れます。速度が上がり慣性力や遠心力が高まるにつれ、これだけではさほど寝ません
フロントブレーキを滑らかにリリースする
体重移動などと連動することで、ターンインのブレーキングで縮めたフォークが伸びながら寝ていきます
ライダーが動くことで人間の慣性力を抜く
前後左右上下、ライダーがどう動いてもバイクに対して一時的に慣性力が抜けて寝ます

ライダーが横方向に体重移動することで重心をずらす効果ですが、例えばMotoGPのような極端なフォームを見て「あれだけ体を内側に入れてるからバンクするんだな」と思う人がいるでしょうが、実は少し間違いです。それならリーンアウトでバンクするのは少しおかしくないですか?

80キロでターンインしてる時に体を内側に入れてもそれだけでは緩やかにバイクは曲がるだけですが、5キロで走ってる時に同じことしたら激しく倒れ込みますよね? 垂直方向にかかっている重力に対しては同じ影響力ですが、速度が上がるなど慣性力が大きくなると重力の効果自体は相対的に小さくなり、体を内側に入れるだけではバイクは大して寝ません。

フロントブレーキをリリースしていくことでの寝かし込みですが、これはライテク関連の記事で必ず触れられることなので詳しくは説明しません。体重移動やアクセルワークなどと連動することで安定して旋回半径を縮めながら寝かし込んでいけスポーツ走行における最重要テクの1つです。

そして最後のライダーが動くことによる寝かし込みですが、これには加重と抜重(ばつじゅう=掛かっている荷重を抜くこと)の概念の理解が必要なためか、あまりライテク記事でも見かけることがありません。が、これが実は一番寝かし込みで大事なことなので説明します。

加重と抜重による寝かし込み

慣れてる人は、ターンインでのコーナーへの飛び込みで、体を一気に動かした時にバイクが軽々とバンクしていく感覚。まさにあれです。

あれは重心が横に移動して重力の力でバイクが寝ているのではなく(少しは効果がありますが)、ライダーの体重の分だけかかっていた前後方向の慣性力と横方向の遠心力が一時的にバイクに対して抜けるため、バイクを起こす力が弱くなって寝るのです。

これは内側にリーンインしても、外側にリーンアウトしても、ステップを使って立ち上がってもそこから落ちてきても、どうやってもライダーが動く限り起こります! だからライダーがちょうどいいタイミングで動くことで、バイクを寝かし込んでいけるのです!

その時に素早く動けば一気に寝ていき、ゆ〜〜っくりと動けばゆっくりとバイクは寝ていきます。その速さはコーナーのRに合わせてください。キツイコーナーでは一気に横移動し、高速コーナーのような緩いコーナーではある程度ゆっくりやるのがコツです。

実際は荷重が抜けるだけというのは物理的にあり得ないので、その抜けた分だけ大きく荷重されるタイミングがあります。これは屈伸する時に、力を抜いて体が落ちる時は力が必要ないが(抜重)、膝が曲がって落下を止める時に自分の体重以上の重さがかかっている(加重)ことで簡単に体験できます。ジャンプの浮遊中(抜重)と着地の時(加重)も同様ですね。

ハングオフでコーナー内側に向けて体を動かしていくと、一時的にライダーのバイクへの荷重が抜けて(抜重)バイクは寝ていく。そして抜けた分、荷重するタイミングは? それは寝かし込み中からフルバンクする時まで、ライダーがコントロールできます。荷重をかけたいタイミングで、ライダーが好きにかけることができるのです。

その荷重をかける方法は、内足を使った内側ステップ荷重と尻を使ったシート荷重です。

内側ステップを使わなければ、尻が着地した時にシート荷重としてフルバンクの前後のタイミングで一気に全て荷重がかかり、リアタイヤが大きく横に流れます。珍走団の蛇行運転をイメージしてください。ふざけたものに見えて、彼らはこのシート荷重のテクを使いこなしてるのです。

では内足で内側ステップから荷重するとどうなるか。この場合はターンインでリアタイヤに荷重がかかることで横に流れ、素早い向き変えに繋がります。感覚としては、リアから寝ながらスゥーーと外側に入り大回りできる感じです。

ここらの使い分けがライテクとなってきますが、個人的にはサーキットのような見通しの良いコーナーでは内側ステップから、山道のようなRのキツイ狭いコーナーでは突っ込み重視からのシート荷重を多めに使います。

山道での安全最強のハングオフの仕方

説明は十分ではないと思いますが、これで理屈はわかりましたね? 詳しい理屈は別記事で説明する予定ですのでお楽しみに。

山道のような横幅が狭く見通しの悪いコーナーでは、奥まで突っ込んでから一気に曲がったほうが安全で結果的に速い。では一気に曲げる方法は? ライダーが大きく体重移動させている、その動いている最中がバイクが寝ていくタイミングなのです。だから奥まで突っ込んでから一気にライダーが動けばいい。

ただライダーの動き方はケースバイケースです。原付だったらオーバーに動くとかえって荷重変動が大きすぎて不安定になるため、コンパクトな動きで十分でしょう。それがヘビー級なメガスポーツだったらそれなりに動かないとバイクは寝てくれません。

またこれはライダーの体重を活用しているので、体重の大きさにも影響されます。ヘビー級な人が原付に乗ってたらむしろ慎重に運転すべきですし、体重40kgの女性がメガスポーツに乗ってたら、それはもう超オーバーに動かないとバイクは寝てくれないでしょう。

荷重変動を最大限に活用できるジャンプ走法

特に私の場合なのですが、愛車のC型ZX-10Rのフロントフォークのスプリングをジムカーナ仕様としてMotoGPで使われるものより固くしてしまい、リアサスもオーリンズ製のレース用を入れてさらに固くなってしまっており、私の体重(55kgくらい)では普通に乗ってたら安定してハングオフできません。超大きな荷重をかける必要があります。

普通の人がやるように、ターンインで内側に尻を動かしておいて、ブレーキリリースと共に落としていくだけでは全然安定してバンクしてくれません。もっと大きく動くにはどうすればいいか。

それはステップ上でジャンプすることです。やり方の流れとしては、

  1. ターンインでフロントブレーキをかける
  2. リリースし始める少し前に、外側ステップを踏み込んで尻がシートから離れるように全身を持ち上げる。外足が外側ステップから外れる必要はない
  3. この時、内足は内側ステップに乗せたままでいいが、離してコーナー内側へ蹴り込むように脚を伸ばすと体を動かしやすくなる (二軸理論 とか 常歩 で検索すると情報がある)
  4. 全身は同時にコーナー内側へ横跳びしている。大きな横ジャンプだ。上下方向と横方向に大きく抜重できることになる
  5. この大きな横跳びによりライダーの荷重が大きく抜重されバイクは鋭く倒れ込む
  6. このタイミングで内側ステップを少し踏み込むことで、抜重した分の荷重をリアにかけられ、リアが鋭く横に流れて向き変えできる
  7. そして横跳びが終わりハングオフの態勢で動きを止めた時、抜重してきた分だけ一気に荷重がかかり安定したフルバンク状態を作ることができる

簡単に言えば普通のハングオフにジャンプを加えたものですが、より大きな荷重をかけることができるので一気にフルバンクへ持っていくことができます。突っ込み重視のライン取りには最適です。

このハングオフの練習は街乗りでゆっくり走ってる時でもできます。スゴイ勢いでバンクして曲がってしまいますが…。5秒毎に左右で切り返し続けたりするとリズムの練習ができます。

マスターすれば、「どれくらいジャンプするか」「どれくらいの速度で体を動かすか」で自在にバンクをコントロールできるので、ぜひマスターしてみて下さい!

ちなみにジャンプ走法というのはわかりやすいと思って私がつけた名前で、別にちゃんとした名前ではないので注意して下さい。ジャンプ走法と言っても誰もわからないと思います。

サーキット走行ではこの走り方はあまりよくありません。尻を浮かさず、背筋を使ってシートできつい減速Gを受けるほうが自然に走れます。あくまで山道で一気にフルバンクに持ち込む時に有効な走り方です。

ライディングテクニック鍛錬の間のページへ戻る

トップページへ戻る

更新履歴
現在の人気記事はコチラ!