ジャイロX インプレ
街中でよく見る働く三輪バイク、ジャイロXについて大型乗りの視点から好き勝手インプレしてみました。一言で言えばね、ホンダさんライダーなめたらいかんよ。
書いている人のスキルについては管理人について/現在のスキルなどの記事をどうぞ。
ライダースペック
体重: 55kg
座高: 普通の日本人より高く胴長短足
ジャイロXとは

街中でよく見る働く原付三輪バイクである。副業で乗ってる商用車(?)で、私の車体は後ろのキャリアの上によく見るでかい箱がついており、屋根はない。
現在のジャイロXはインジェクション化されている。4ストと2スト両方があるのだが、もしかしたら2ストはインジェクションじゃないかもしれない。
以降は4ストのインプレである。2ストはこれより若干軽快でマシだが、大きな違いはないと思ってほしい。
ポジションに難アリ! ちゃんと作れホンダ!
見た通り、スクーターのようなアンダーボーンフレームであり、またがる必要がなくシートにドスッと座る形で乗車する。ニーグリップやタンクホールドはできないが、床は広く足はのんびりできる。
ハンドルは一見近く感じるが実はこれは罠で、このジャイロXというバイクは相当リアに荷重しないと曲がらないバイクである。私が乗るジャイロXは後ろに(シートに隣接して)箱がついてるので、箱から拳1つ離れた位置に座り、背中は箱に当てて背もたれにして乗る形になる。
恐らく街中を見渡してもこれほど後ろ乗りしているジャイロは見かけないであろう。メーカーのホンダは想定してたのかしてなかったのか、このポジションにすると腕は全くゆとりがなくまっすぐハンドルに伸ばさないと届かない。胴長であるぶん腕が長い私ですらぎりぎりなので、普通の人にはハンドルが非常に遠いということになる。
まあほとんどの人はハンドルにしがみつくように乗っているので気づかないだろうが、そうすると全く曲がらないのよねこのバイク。ホンダらしからぬいい加減なポジション設定である。ちゃんと仕事して。
強いセルフステアが気持ち悪い
では走り出してみよう。操作に対して車体の反応は鈍いが、安定はしてる。バイクに興味がない人でも安心して乗れるだろう。
バイク乗りにとって気持ち悪く感じるのはセルフステアの重さである。かなりの頑固さで、大型バイクのような安定感の伴ったものとは違い、単純にハンドル周りの重さが悪さしているようだ。慣れない人は切れ込みを気持ち悪く感じるだろう。まあほとんどの人はハンドルを押しながら運転しているのだろうが。
この酷いセルフステアを抑えるにはアクセルを開けるしかない。交差点やコーナーで、早めにアプローチするのではなく、奥まで我慢してから一気に曲がるのだ。そうすれば自分が想定したライン取りよりもハンドルが切れ込んで困ることはない。1にアクセルを開け続け、2にクリッピングポイントを奥にとるライン取りが要求される。
フロントはアンダー、リアは安定だがダラっとする
ではコーナリングを見ていこう。バイクの醍醐味はコーナリングであるのは自明の理だ。
まず誰もが感じるのはフロントの重さと強いセルフステア、そして前輪のアンダーであろう。原付なので倒れ込みはそこそこ軽快だが、詰まった感じで曲がるのである。そしてフロントは頑固な感じが強く、セルフステアは重くて気持ち悪くアンダー、前輪のグリップ力が不足している。
これは車体のバランスの悪さに起因しており、フロント周りの性能が低いためである。ジャイロはスーパースポーツではないのでフロントから曲がることはできない。フロントが重い上にグリップ力が不足して、かかる荷重に耐えられず曲がってくれないのである。
では後輪はどうか。一言で言えばジャイロの後輪は車と同じである。後輪が二輪あるバイクというのはジャイロが初めてだが、これは車と挙動がほとんど同じといっていい。
前輪が重くグリップ力不足に対し、リアは二輪もありよく言えば安定性はかなり高い。だが悪く言えばバランスが悪くコーナリングに癖が出る原因となっている。
前輪がグリップ力の悲鳴を上げてる状況でリアはダラダラしてるので、余計に曲がらないのである。普通の人が普通に運転すれば、フロントに頼った運転となりアクセルはあまり開けずに曲がる。するとドアンダーである。こいつを速く走らせるには?
後輪重視で前輪の負担を減らすコーナリング
前がダメなら後ろを使えばいい。後ろ乗りのポジションを取り、もちろん前後ブレーキはしっかり使うものの、ターンインでアクセルを大きく開け続けながら曲がる走法である。どんなバイクにも有効な曲がり方だが、こういったフロントがしょぼいバイクにはより有効だ。
ライダーが後ろ側に乗ってるので前輪にかかる負担がまず減り、フロントブレーキをしっかり掛けてグリップ力を得た後に滑らかにリリースすることで有効に活用する。またターンインでアクセルを開けているのでフロントにかかる荷重が小さい状態を維持でき、やはり費やすグリップ力を節約できるのである。フロントに頼ってはイケナイのだ。
またジャイロは後輪が二輪あるので面白いことができる。明らかにアクセルを開けすぎのままターンインしてみよう。普通のバイクなら後輪が危険な状態に陥るが、ジャイロの場合はリアが車なのでドリフトっぽく外に流れるのである。2輪あることで、普通のバイクのような繊細さも必要なく簡単に流れてくれる。
まとめると、フロントにかかる負担を減らしてフロントの足りないグリップ力をいたわりながら、後輪は酷使する。開けすぎても安心、流れるだけで後輪から転倒することはない。これを極めると、四輪ジムカーナの車がパイロンの周りをリアを流しながら回るみたいな動きでギュリューーー!と曲がる。フロントブレーキの繊細さは必要だけど。
コーナリングの話に偏りすぎたので普段の街乗りの話へ。
街乗りでの印象や操作感
まず乗り心地は最悪である。通常の二輪のバイクは前後のサスがギャップを吸収してくれるが、ジャイロは後輪が車のような構造で、しかも重量が集中しており、さらにバネ付いてるのかというくらい突き上げてくる。
物凄い段差があるところをアクセル全開で通ってしまったことがあるのだが、文字通り全身が投げ出されてしまった。後ろからの突き上げが凄いので前方上に飛ばされる。後ろに箱がなかったらえらいことになってたかもしれない。
だから、ジャイロで運転する時は下ばかり見ることになるのだ。交通状況の確認と同時実行を要求される、極めて高度な運転技術を要するバイクと言えるだろう。
私が乗っているのは結構走ってる車体だからというのもあるだろうが、全体的に滑らかさが足りず硬く操作感が薄いバイクである。
ブレーキをかけてもフロントフォークが沈まないし(構造上?)、左右のブレーキレバーのフィーリングも最悪だ。効かない上にグニュッとした感触もないので、単純に握り込んでいる量だけで判断して滑らかにリリースする形になる。あちらから情報が流れてこないので、ライダー自ら積極的にセンサーを向ける必要性がある。
だがこんな車体でもバイクはバイクである。滑らかな操作をすることでわりと安定して速く走ることができる。まあ相当に丁寧な操作を要求されるので若干の面倒さは感じる。
エンジンはつまらないの一言である。私は新聞奨学生として4年間毎日カブに乗り続けていたので断言できるが、同じホンダの50ccでこれほど違うのは納得できない。カブは一定速巡航がかなり気持ちいいバイクだ。一方、ジャイロはどう走ってもまったりなどしない。
まあこれはエンジンだけでなく車体などの問題もあるのだろう。が、エンジンのフィーリングだけに着目してみてもやはり最悪である。これでツーリングしろと言われたら絶望する。
総評: もっと何とかならんのかホンダさんよ
あのカブを作ったホンダさんである。もっと良い出来にできるはずだと私は思う。
良いところを探すのが難しい。というかどこにもないんじゃないかコレ。エンジンダメ、乗り心地ダメ、車体バランスダメ、コーナリングダメ、スタイリングダメ…。カブはこれらの項目全て、そこそこ良い成績である。なぜこれほど違うのか。
三輪バイクだからなのか。ホンダスピリッツでもっと何とでもなるはずである。ジャイロは昔のモデルから大きな変化なく現状に至っているという説明を読んだことがある。が、それはライダーをナメてるとしか思えない態度である。仕事で仕方なく乗る不慣れなライダーばかりだからと考えているのであろう。
4ストと2ストの違い
4ストはアンダーパワーで曲がらないよくあるつまらない特性である。これはパワーがなさすぎて効率の良い曲がり方ができないことも原因である。一方、2ストは吹け上がりが良く立ち上がりでパワーが出るため、バイクらしい曲がり方をしやすい。街中をキビキビ走るのに2ストならパワーに不足しない。
また剛性に違いがある気がする。4ストはよくある鈍重な特性で、ハンドルの重さとアンダーステアが目立つ。対し、2ストは比べると全体的な剛性がやや高く、倒れ込みに軽快感がある。逆に2ストは安定感に乏しいのが欠点だが、軽快でパワーが出ることでバランスは2ストに軍配が上がる。
ただし燃費に顕著な違いがあり、2ストは4ストの2倍以上燃料を食う。かなりの差である。というより4ストの燃費が異様に良いだけとも言えるが。4ストは朝に燃料を入れれば、一日中ずっと走り続けない限りは次の日まで給油は必要ない。