常識すぎて誰も語らないバイク話

ベテランライダーがバイク乗りの考え方、実情、ライテクなどバイクの世界を語ります。
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試乗レポート

色々なバイクを試乗しており、その中から有用そうなものを書いていきます。

SV650X 試乗感想

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新車乗り出し価格が65万円からという驚異のコスパのSV650がとても気になっており、カタナやGSX-S1000と同じ日に試乗しました。ただしSV650ではなくセパハンになっているSV650Xです。

お店はさいたま市のサイクルロードイトー指扇店です。

書いている人のスキルについては管理人について/現在のスキルなどの記事をどうぞ。

作成:2019年10月1日

ライダースペック

身長: 175cm
体重: 55kg
座高: 普通の日本人より高く胴長短足

装備など

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諸元では装備重量197kgなのでC型10Rと恐らく変わらない程度だが、新しいバイクによくある重さを感じないバイク。

Vツインなので細身で、重心的にはほぼ中央に何か細い芯が通っているような感覚。重さの塊を感じないので400ccネイキッドよりだいぶ軽く感じる。

4気筒と違ってフロントにエンジンの重さを感じず、それが素直で軽快な挙動に直結している。

見てわかる通りシート高が非常に低くベタ足である。緊張感ゼロだが同時に心にも響きにくい。初心者や下駄バイク向きの設定。

今回試乗したのはアップハンドルのSV650ではなくセパハンのSV650Xだったが、もともと車体がフロント荷重を重視する特性ではないので前傾ポジションの意味がないと感じた。

意味もなく前傾していて別に運動性には寄与していない印象。スポーツ走行するならわからないものの、街中でのメリットは一切なく特にバイクとの一体感もない。

アップハンで上体が立つSV650なら車体もリア重視で曲がりそうな印象だったのでバランスが良いのかもしれない。

その他、装備に関してはまず発進時に回転数を自動で上げる機構は信用しないほうがいい。実はカタナを試乗中にアクセル全閉で普通に半クラで発進したらエンストした。発進時に回転数が微妙に上がるだけと思うべきでスロットル操作も必須。Uターンでは役に立つのかもしれない。

Vツインエンジンの特性

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SV650の売りがこのVツインエンジン。海外でのテスターで「高い外車の2気筒エンジンと同様の味わいがこの安いバイクで楽しめる」と評す者までいたので大変楽しみにしていたのだが、これは裏切られることとなった。

最大の特徴がパルス感である。単気筒とも4気筒とも違う、ギュイギュイギュイーーーンというエンジン音が響く。決してエンジン音は大きくないが、ヘルメット越しに直接パルス感が送られてくる。

しかしこのパルス感も薄味であり楽しめるほどではない。もっとザラザラしたノイジーなもので音が大きく、エンジンの回り方も少し鈍くてトルクが溢れていれば相当な気持ちよさになるパルス感だが、エンジンのノイズ感はかなり小さく吹け上がり方もわりと軽快なのでさほど気持ちよさには繋がっていない。

650ccのエンジンにそこまで求めるのが酷なのだが、気持ちいいエンジンだと思っていたのでこれにはかなり落胆した。あの名機、油冷エンジンを作ったスズキだからと勝手に期待していたらしい。

エンジン性能的には2気筒のわりにトルク感がやや薄めで、しかし吹け上がりは軽快なのが特徴。実用性で言えばピカイチ。

レッドゾーンは10000回転ほどからだが、5000回転からはトルクが小さくなっていき惰性で回っているだけで面白みが全くない。エンジンの振動もただ煩わしいだけになるため、せいぜい公道で使えるのは6000回転ほどまでだろう。それ以上は回す気に全くならない

5000回転までの加速は排気量からすると順当。ただしギア比がロングであり、公道で加速し終わって巡航しようとしたらギアが4速という感じになる。高速道路に乗らない限り6速は使わないと思う。SV650の主なマーケットはヨーロッパなので巡航を考えてだと思う。しかし国内ならもっとショートにしたほうが間違いなく面白くなるはずで、評価が一変するかもしれない。

比較対象がDR-Z400SMになってしまうが、60キロくらいまでの加速はほぼ同じ。DR-Z400SMは単気筒だからそれだけの加速力があるのだが、SV650はハイギアのせいでトルクが出ていないような印象がある。過不足ない加速力なものの、伸びをあまり感じないため面白みに欠ける。

そこから上はもちろんSV650のほうが速い。ハイギアなこともあって回転数も低く保てて高速も快適に走れるはず。しかしトルク感が薄く上も伸びないので、マフラー交換で中高回転域をもっと伸びるようにしてスプロケをショートにして全域で加速寄りにしたら本当に面白いバイクになるかもしれない。

価格を考えればSV650は買い

かなり期待していたのとスズキだからやってくれると思っていたので辛口評価となったが、乗り出し価格が70万円を切ることを考えれば超お買得なバイクである。

街中で十分な加速力があり、ハイギアなため回転数を低く保てて楽だし燃費も良い。静かだしパルス感はしっかりある。シート高は低いし軽快感に溢れている。

実用性という面ではパーフェクトな上にただの無難なバイクでは決してない。CB400SFとは違う意味でスタンダードとなり得るマシンと言える(そもそもCB400SFは普通に速いバイクだが)。

だから1台目のバイクとして、自分が何をしたいかわからない人が最初に買うにはベストマッチだと思う。重いバイクは立ちゴケのリスクがあるしそもそも扱いに困る。250では小さすぎるし、400はラインナップが限られている。SV650は70万を切る価格なのだから、免許さえあれば最初の1台にここまで向いているマシンはない。

しかしセカンドマシンとしてはオススメしにくい。250や400を持っている人が増車するには半端だし、600以上のバイクから増車するにはあまり魅力を感じないだろう。メインマシンにお金がかかり、セカンドマシンとして安く街乗りしたい人や通勤を兼ねて買うような場合ならともかく。

味わい深いエンジンで楽しく街乗りするというなら、もっと他にもある。

MT-07と比較するとどうなのか

MT-09トレーサーしか試乗したことがない自分には想像が大部分を占めてしまうが、セカンドマシンとしても存分に楽しめそうなMT-07とは大きな隔たりがある。あちらのほうが車重が軽い上にパワーもありかなりスポーティーである。正直SV650を買うなら中古のMT-07を買うほうがよほど豊かなバイクライフになりそうである。

これはSV650が劣っているのではなく立ち位置が違うからなので、そこはお間違いなきようお願いします。初心者になら間違いなくSV650のほうがオススメ。

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