DR-Z400SMの峠・山道でのインプレッション
SUZUKI最強のモタードはタイトな峠ではずば抜けて速く、しかもラクラク走れます。これまで乗ったことのあるバイクと比較してのインプレですが、主な比較対象は私のC型ZX-10Rとなっております。タイヤはダンロップ α-14です。
パワーバンドきむらでジムカーナ仕様のものを購入したため、ストックのDR-Z400SMと少々異なる部分がありますがご了承ください。
DR-Z400SMはレーサーを除けば最強クラスのモタード
普通二輪免許で乗れ、しかもレーサーと違い耐久性があるためメンテサイクルが短いということがなく、もちろん公道も走れる最強のモタードがDR-Z400SMです。
例えばレーサーでならハスクバーナやホンダなどに強烈な車両がありますが、レーサーですから定期的にエンジンのオーバーホールが必要など一般人が簡単に扱えるものではありません。普通の人が普通に買えて扱えるバイクで、最強のモタードがDR-Z400SMなのです。
まあKTMにも刺激的なモタードはありますが…品質などを考慮するとDR-Z400SMに軍配が上がります。あとヤマハのWR250Xも凄く良いという話ですが、私は乗ったことないので比較はできません。ジムカーナではDR-Z400SMの方が実績があり優れているようです。
スーパースポーツ以上に開発にお金がかかっている極太倒立フロントフォーク、しなやかな動きで安定した絶大なる接地感を確保し続けるリア周り、400ccの中ではトップクラスのエンジン性能(400レプリカも凄いが、下から強烈なトルクがあり扱いやすい)、徹底的に軽量化された車体(ライトが暗いのも軽量化のためらしい)。
車体の構成・特性
跨った瞬間はシート高が高いため怖く感じます…が、体重をかけた瞬間に車体が深く沈み込み、そして車体は細くとても軽いため左右に揺すっても全然怖くありません。跨った瞬間から車体の動きのしなやかさが伺えます。しかもストロークにはコシがあり、弱いサスという感じは一切受けません。
クラッチ繋ぐ時はそれほど粘る感じはしませんが、一旦クラッチが繋がると400ccとは思えない力強いトルクがあります。開ければ開けるだけダイレクトに車体を押し出すトルクがあり、しかもリアの動きが良いため常に十分な接地感があり、後輪が踏ん張って力強く車体を押し出すのがひしひしと伝わります。モタードの凄さをわかりやすく感じる点の1つです。
スロットル全開にすると力強く軽快に吹け上がっていきますが、さすがに単気筒なので上の方の伸びはなく、回転数なりに速度が上がるだけです。4気筒と違いあまり上の回転数を使おうとする意味はなく、広いパワーバンドとして中回転域を使うのがいいと思います。
単気筒ならではのトラクションの良さがDR-Z400SMの強力な武器ですが、高回転域を使うとトラクションが弱まり安定感が損なわれます。しなやかな車体と中回転域を使うのがモタードのコツとなります。
ポジションとしては体感的にかなり後ろに座り、そこからSS並に前傾してトップブリッジに顔をこするようにすると、フロントは軽く回頭性が良い状態でリアは強いトラクションで軽快に旋回できます。前すぎるとフロントが重くなり詰まってターンインでの軽快感が損なわれ、前傾してなくても同様にターンインで旋回性が引き出せません。
なので私はSSに乗るのと同じようなハングオフでDR-Z400SMに乗っています。といっても私の乗り方はわりと変わっているので普通のSSの乗り方とは正直違う部分がありますが、慣れればSSっぽい乗り方で安定して走れるとわかるはずです(当然ジムカーナでは全然違うけど)。
と思っていましたが、サーキットを走ったところハングオフよりやっぱりモタード風のリーンウィズのほうが速いということが発覚しました。峠レベルではどちらでも大差ないのかもしれませんが…。
ブレーキングではフロントフォークの動きの良さに感動を覚えるレベルで、すくーと滑らかにストロークしていき徐々に固くなっていくため、フロントフォークの動きが悪いバイクにありがちな前輪に荷重がかかりすぎて怖いという思い(C型10R)や、逆にフォークがストロークしすぎて強くブレーキングできない(GPZ1100)なんてことは一切ありません。
動きがよく固さが超絶丁度いいこのフロントフォークは賞賛すべきレベルです。固いサスのバイクにしか乗ったことがない人にこそ、ぜひ一度モタードのしなやかな動きを体感していただきたいと思います。私のDR-Z400SMはいくらでも試乗OKですので(笑)
峠・山道でのコーナリング特性
では実際にタイトな峠を走っている際のことを思い出して書いてみます。一言で言えば「awesome」! モタードとして優秀すぎて乗りやすすぎるため、モタードの特性を説明してるだけのようになってしまっているので、この下でKTMの690 Duke Rとの比較を簡単にしてます。
車体の向きが変わってからの立ち上がり加速では、後輪がぐぐぐっと路面を強いトラクションで捉え続けながら、パワーバンドの広いエンジン特性を活かしてトルクで確実に前に進んでいけます。
例えば車体が固いSS(C型10R)などでは、開けないと車体が向きを変えようとせずダルい旋回になるし、かといって開けすぎると前輪にプッシュアンダーが出て結局曲がらず、後輪の接地感に神経を研ぎ澄ましながらちょうどいい具合に大きく開けていく…ということになります。
それがDR-Z400SMでは開けすぎてもリア周りがしっかり踏ん張って、車体に簡単にアンダーが出ることはありません。車体は起き上がるしちょっとは膨らみますが、「少し開け過ぎだから少しは膨らむよね」という、それだけです。しなやかな車体はラフな操作さえ吸収してしまいます。
そして目覚ましいリアサスの踏ん張りを感じながら加速し、次はターンインです。
今度は秀逸なフロントフォークの出番で、くくっーっと滑らかに入っていきつつ、しっかりコシがあって踏ん張り前輪のちょうどいい塩梅の接地圧が確保され続けながら寝かし込んでいけます。
ここもフォークが固いSS(またしてもウチのC型10R)では、強いブレーキングをしている時は前輪に急激な負荷がかかっていてとても寝かし込んでいけるものではなく直線的なブレーキングとなり、前輪の接地圧を伺いながら少しずつ緩めながら寝かし込んでいくことになります。ブレーキを残しながらターンインということで基本的な操作ですが、柔軟性はありません。
それがDR-Z400SMだとブレーキを掛けるだけフロントフォークがストロークしていくのですが、あくまでフロント周りはしなやかであり、前輪の接地圧が急激に増えることなく安定し続けるため、ブレーキングしながらもある程度の柔軟性のあるライン取りができます。これがモタードの最大の武器の1つでしょう。
だから「コーナーのRに合わせてここまで直線的にブレーキングして、ここから一気に寝かし込んで…」など考える必要があまりなく、制動距離だけを考えてブレーキングし普通に寝かし込むだけという、超絶イージーな操作となっています。進入速度を高めていく上でこのシンプルさは大変重要な点となります。
そして寝かし込みの一次旋回からバンクが安定するまでですが、前後輪がしなやかに路面を捉え続けるので安心して寝かし込めます。ただしフロントで曲がるというよりは後輪の着実なトラクションで大回りして高い速度で旋回するものです。頼り甲斐のあるフロントを軸に曲がるような走り方だと、それほどの旋回性は出ません。
イメージとしては、できるだけ高い速度を維持したまま後輪を大きく回り込ませて深いバンクでクリアしていく感じです。ガチガチのSSでこれをやるのは難しいですが、しなやかでトラクションあふれるDR-Z400SMでは自然にこうなります。
二次旋回はモタードの強い部分の1つだと思うのですが、後輪のトラクションのおかげでアクセルを開けていきやすく、リアサスが踏ん張ってライン取りが可変的になるため、さらなるアクセル開度をリスクなしに試しやすいです。
KTM 690 Duke Rとの比較



※写真は390Duke
以前に試乗した時のことを思い出して比較してみます。大雑把に言うと、690Dukeのほうがパワーがありサスは強くコシがあるが、絶対的に重くなってるということです。
まずパワーは690Dukeのほうが1.5倍くらいある感じで、リッターバイク以上のトルクがあるため1速全開できませんでした。間違いなくフロントは軽々上がるはずです。どこからでも凄まじい加速ができ、公道上ではモンスターマシンに乗ってる気分です。
また690Dukeのサスは強くコシがあるもので、大パワーを受け止められるだけの頼もしさがあります。ただしDR-Z400SMのサスはどこまでもしなやかさが続く至高の路面追従性なのに対し、690Dukeにはそこまでの路面追従性はありませんでした。だからバンク中のアクセルの開けやすさは大きく違います。
加えて重量が690Dukeは結構重く感じ、バンク中はあまりムリできない感じでした。どこまでもいけるところまでアクセルを開けていけるDR-Z400SMと一番違うところかもしれません。だから乗りやすさはDR-Z400SMの圧勝となります。690Dukeはトルクが大きすぎて、アクセルワークをかなり気をつけないと速く走れないバイクです。
ですから、確かに690Dukeは凄いマシンだし超絶パワーでスポーツ走行はもちろん、公道でさえとても楽しいバイクですが、スポーツ走行での乗りやすさと楽しみやすさでは圧倒的にDR-Z400SMが上です。リッターバイク基準で言うとDR-Z400SMには若干の非力さはありますが、だからこその扱いやすさがあるのも事実で、そして足回りは圧倒的に良い。
速度の出る場所を除き、ほとんどの人はDR-Z400SMのほうが速く楽しく走れると思います。一部の腕の立つライダーだけが、690Dukeのデンジャラスな走りに魅了され爆走できる…と思います。私も690Dukeは凄まじいバイクだと感動しましたが、あの性能を引き出すのは容易でないと思います。
実際にDR-Z400SMはいいのか
私はいいものはいいって言うし、C型10Rのようにダメなものはダメってはっきり言います。DR-Z400SMはもう素晴らしすぎるバイクです。「高価でない・信頼性が高い・速い・楽しい・学べる・ツーリングにも最適で自走が楽しい」といいことずくめで、またジムカーナでも大変良い成績が残されているという、頼り甲斐のある実績もあります。
私は増車なんてする気が毛頭ないのに買ってしまったDR-Z400SMですが、買って本当に良かったと思っています。SUZUKIは売り方が下手なことが多いし不器用なメーカーですが、DR-Z400SMに関しては最高の仕事をしてくれたと思います。
下道楽しい、ツーリング楽しい、スポーツ走行速くて楽しい…。唯一の欠点は高速で飛ばすのは合わないことと、サーキットでは高速域での伸びがないことくらいでしょうか。だからサーキット用SSとのセットが最強だと思います(贅沢だけど)。
個人的にですが、ジムカーナに自走で参加するならDR-Z400SMが最適だと思っています。転倒してもほとんど壊れず(自走組に一番大切なこと)、スプロケを大きく変更する必要がなく(SSはここでアウト)、燃費が良く(30km/lくらい走る)、パワーが十分あり(250以下はここが問題)、乗り心地がいいという素晴らしい車体です。
2018年からは積極的にジムカーナ練習会に参加して大会に出ていこうと思っています!